【この記事の監修者】工藤紀子医師 小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
生後11ヶ月の離乳食は離乳食後期(かみかみ期)にあたります。離乳が完了する目安の生後12ヶ月が近づき、いまの離乳食を続けて良いのか悩みを持つママやパパもいますよね。
この記事では、生後11ヶ月の離乳食の進め方を解説します。スケジュールやおすすめレシピも紹介しているので、参考にしてください。
Contents
生後11ヶ月の離乳食の進め方
離乳食後期は、1日に必要な栄養の6~7割を離乳食から摂取する時期です。口に入れた食べ物を2~3秒間噛んで飲み込めるようになったら、後期に移行する目安とされています。
生後11ヶ月の赤ちゃんは手先が器用になり、小さなものがつまめるようになる子もいます。離乳食後期は手づかみ食べを積極的に取り入れましょう。赤ちゃんが食べ物を前歯で噛みちぎり、一口の量を覚えるためです。
用意する量の目安
生後11ヶ月にあたえる離乳食の1回あたりの量は以下の通りです。
上記は目安であり、赤ちゃんの食欲や成長に応じて離乳食の量は増やして構いません。ただし、タンパク質を多く含む食材は消化器官への負担が大きいです。したがって離乳食の量を増やす際は野菜を増やしましょう。
離乳食の量が適切か悩んでしまう場合は、成長曲線のグラフに体重と身長を照らし合わせます。もし成長曲線のカーブを下回っているなら量を増やすことを検討しましょう。
用意する回数
生後11ヶ月の離乳食の回数は1日3回です。離乳食を与える間隔は、5時間を目安にします。例えば、1回目は7時、2回目は12時、3回目は18時です。
離乳食を与えた後は母乳またはミルクをあげます。これとは別に母乳は赤ちゃんが欲するリズムで与え、ミルクは1日2回与えます。つまり、生後11ヶ月の赤ちゃんには母乳またはミルクを1日3~7回程度与えます。
離乳食の作り方
生後11ヶ月の離乳食は指でつまみ、軽く力を入れるとつぶれる硬さを目安に作ります。赤ちゃんが歯ぐきでつぶせる硬さにする必要があるためです。具体的にはバナナの硬さを目安にするとよいでしょう。柔らかすぎると丸飲みの原因になります。また、肉や野菜の大きさは5~8mmに切ります。
赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いので、調理をする際は衛生面に十分に注意しましょう。食品に触れる前に手洗いをするのはもちろん、離乳食専用のまな板を用意するとよいでしょう。
食材を加熱するにはガスコンロやIHヒーターを使うのが一般的です。しかし、赤ちゃんの面倒を見ながら火を使うのは心配ですよね。そこでおすすめの調理方法を2つ紹介します。
- 電子レンジで調理する
電子レンジを使えば赤ちゃんが急にぐずった時でもすぐに対応できます。タイマーが設定でき、調理中に目を離しても火事の恐れがないためです。また、鍋などの大きな洗い物を減らせるメリットもあります。電子レンジで加熱する場合は、均一に加熱されないので、まんべんなく火が通るように途中で混ぜたり、中まで火が通っているか確認する必要があります。
- 炊飯器を使って大人のご飯と一緒にと調理する
離乳食の食材を耐熱ガラスに入れるまたはアルミホイルで包んで、水に浸したお米の上に置きます。あとは炊飯ボタンを押すだけで、大人用の白米と離乳食の調理ができます。また、炊飯器で一度にまとまった量の全がゆを炊いて、ジップロックなどに平たく入れて冷凍すれば、使用したいときに必要量を手で割って電子レンジなどで回答するだけなので、とても便利です。
生後11ヶ月の離乳食で使える食材
生後11ヶ月の離乳食で使える代表的な食材は以下の通りです。
離乳食後期から使える食材にはきのこ類があります。きのこ類は弾力があり噛みちぎりにくいため、離乳食の中期までは避けるべき食材でしたが、離乳食後期からはきのこ類を与えても構いません。離乳食後期の食材の大きさは5~8mmですが、きのこ類は2~3mmの大きさにして与えましょう。
また、生後10ヶ月の赤ちゃんは鉄欠乏性貧血になりやすいので、鉄分が豊富な食材を積極的に使いましょう。なぜなら生後9か月を過ぎると、ママのお腹の中で蓄えていた鉄分を使い切ってしまうからです。鉄分が豊富な食材であるレバーなどを取り入れるとよいでしょう。
うどんやパンは小麦製品、ヨーグルトとチーズは乳製品でありアレルギーの原因となり得る物質を含みます。またパンには乳成分が含まれることがあります。アレルギーの心配がある場合は、離乳食を開始して1カ月後以降に試すといいでしょう。
また、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつおよびはちみつを含む食品は与えないでください。赤ちゃんはまだ腸内環境が整っていないため、はちみつに含まれるはボツリヌス菌が体内に入ると乳児ボツリヌス症になることがあるからです。市販のパンは卵・乳成分などが含まれている場合があるので、裏面の成分表示を確認して問題がなければ与えるようにしましょう。
卵を最初に与える時は、固ゆで卵(ゆで時間20分程度)の黄身を少量から与えるようにしてください。牛乳は調理に少量だけ利用することは可能(アレルギー反応がないことを事前に確認しておく)ですが、直接飲ませるのは避けて下さい。また、しらす干しは塩抜きしてからあげましょう。
生後11ヶ月の離乳食スケジュール・献立メニュー例
生後11ヶ月の離乳食のスケジュールは、食事と授乳のリズムがつかめてきたら大人の食事と一緒に与えます。なぜなら離乳食後期ではパパやママと食事を共にして楽しい体験を積み重ねることが大切だからです。
離乳食の献立は、穀類、野菜・果物、タンパク質を含むようにします。毎食ごとに献立を考えるのは大変なため、使う食材に一定のパターンを定めるとよいです。例えばタンパク質であれば肉、魚、豆腐、卵を順番にメニューに取り入れます。
生後11ヶ月の離乳食の具体的なスケジュールと献立メニューは以下の通りです。
野菜ミックスとは複数の野菜をバナナの硬さくらいの柔らかさに煮たものです。野菜ミックスに1品を足すことで献立に変化をつけると良いでしょう。赤ちゃんが同じ味に飽きてしまうのを避けられるからです。野菜ミックスの例として、人参、大根、キャベツがあります。
ご飯を噛む回数が減り丸飲みすることが増えたら、柔らかすぎる可能性があります。5倍がゆから軟飯に移行してもよいでしょう。軟飯とは米1:水2~3の割合で炊いたお米です。
生後11ヶ月のおすすめ離乳食レシピ
生後11ヶ月を含む離乳食後期からは、手づかみ食べを開始しましょう。食べ物の触感を体験して自らの意志で食べる行動につながるからです。例えばおにぎり、棒状に切った野菜や棒状に切ったパンを使ったレシピがあります。
一口の大きさをかじり取って、自分にとっての一口の大きさがどのくらいかを食べながら学んでいく大事な時期です。手づかみ食べをさせると周囲を汚して片づけが大変になる、という意見もあると思います。しかし、手づかみ食べは赤ちゃんが食材の硬さや触感を体感して、自らの意思で食べることにつながる重要な行為です。床にビニールシートや新聞紙を敷いておくと、後片付けが楽になります。
にんじんジャムパン
人参には免疫力を高めるβカロテンが豊富に含まれるので、赤ちゃんには積極的に食べて欲しい野菜です。食パンは手づかみ食べができる大きさに切ります。
【材料】
- にんじんのピューレ 大さじ2(約30g)
- 食パン 1枚
- りんご 10g
- レーズン 1~2つぶ
【作り方】
- りんごをすりおろします
- すりおろしたりんごと「にんじんのピューレ」、刻んだレーズンを混ぜ合わせます
- 電子レンジ500w〜600wで約1分、焦げないように注意しながら加熱します
- 食パンを食べやすい大きさに型抜き、または切ります
- できあがったにんじんジャムをぬります
レシピで使用した「にんじんのピューレ」は以下の商品です。
カツオの竜田揚げ丼
離乳食後期から食べられるレシピです。ごはんと一緒に食べごたえ満点の一品でしょう。
【材料】
- カツオの竜田揚げみぞれかけ 大さじ3(約45g)
- 味噌 少々
- 全がゆ(軟飯) 約80~90g
【作り方】
- 器に盛ったあたたかいおかゆに味噌を混ぜます。
- 「カツオの竜田揚げみぞれかけ」をかけます。
レシピで使用した「カツオの竜田揚げみぞれかけ」は以下の商品です。
生後11ヶ月のおすすめベビーフード
生後11ヶ月の離乳食は後期(かみかみ期)にあたり、離乳完了の目安となる1年が近づく時期です。手づかみ食べを積極的に取り入れたい時期ですが、食べ物が散乱したり、思うように進まなかったりしてイライラしてしまうかもしれません。
そんな時は離乳食を作る手間を減らしてみるとよいでしょう。頑張りすぎて疲れてしまう前に子育て家族に「やさしい」フードブランド 「カインデスト」のベビーフード を試してみてはいかがでしょうか。