離乳食後期・かみかみ期(9~11ヵ月)の進め方は?献立・レシピも紹介

【この記事の監修者】工藤紀子医師
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

この記事では、少しでもママ・パパの負担を減らし、『お子さまや家族との時間を増やして欲しい』という想いから離乳食についての内容をまとめました。完璧に離乳食を進めることよりも、お子さまが一番成長するこの離乳食のタイミングを大切に楽しみながら、焦らず慌てず、大人がお子さまの成長に合わせて離乳食を進めてあげられることが一番だと思っています。

離乳食後期は、月齢9~11ヶ月頃が目安です。つかまり立ちができる赤ちゃんも増えてくる頃でしょう。 離乳食の回数は1日3回。大人と同じリズムで食事ができるようになってきます。

離乳食後期に入ると、食事の形態や使える食材がこれまでとは変わるので、「離乳食の献立をどうしようかな」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、離乳食後期の献立や調理のポイント、食べさせるときの注意点について解説します。 便利なベビーフードの活用方法も紹介しているので、参考にしてください。

離乳食後期(9~11ヶ月)離乳食の進め方

後期の離乳食は、赤ちゃんの月齢が9~11ヶ月頃を目安に始めます。
食べ物に興味を持ち、口をしっかり動かしてもぐもぐと食べられるようなら、後期の離乳食メニューに進めましょう。

後期の離乳食は1日3回です。
これまで食後にあげていた母乳やミルクは、変わらず欲しがるだけあげても問題ありません。
手づかみで食べたがる時期なので、赤ちゃんが自分の手で食べられるメニューも用意しておきます。

離乳食の進め方(離乳食後期)のポイント
・月齢は9~11ヶ月頃を目安に
・口をもぐもぐ動かして食べたり、食べ物に興味を持ち、手づかみをはじめる頃に、離乳食後期へ移行
 進め方について詳しく知りたい方はこちら。
  ⇛記事「離乳食はいつから始めるべき?進め方やスケジュール」
・1日3回離乳食に
・手づかみを始めたら、持ちやすい食べものを用意

離乳食後期に移行する目安

離乳食後期にステップアップする目安は以下の通りです。

離乳食後期(かみかみ期)へ移行する目安
・ 豆腐くらいの固さの食材を、2~3秒もぐもぐして、ごっくんと飲み込める
・1回の離乳食で、子供用茶碗1杯分の量を食べられる
・ 食べ物に興味を持ち、触ったりつかんだりする
・1日2回食の生活リズムが整っている

離乳食中期の離乳食を上手に食べられない場合や、2回食のリズムがついていない場合は、後期の離乳食に進めるのは早いかもしれません。
9ヶ月になったからと、月齢だけでムリに後期の離乳食に移行せず、赤ちゃんの成長に合わせて進めましょう。

離乳食後期(かみかみ期)の大きさと固さの目安

離乳食後期に食べる食材の、大きさや固さの目安を確認しておきましょう。

離乳食後期に使う食材の大きさと固さは、以下を目安にしてください

離乳食中期の大きさと固さの目安
・おかゆは5倍粥
・歯茎でつぶせる固さ(バナナの固さくらい)
・大きさは5~8mmくらい

離乳食後期では、少しずつ手づかみ食べをさせるようにしましょう。
手づかみ食べをすることで、食べ物の触感を確かめたり、自分が食べられるひと口の量を学んだりします。
テーブルや床が汚れるので片づけるのも大変ですが、赤ちゃんが成長するための大切なステップだと思って見守ってくださいね。

自分から積極的に手づかみ食べをする子もいれば、手づかみを嫌がる子もいます。
赤ちゃんがなかなか手づかみ食べをしないという場合は、無理強いせず、赤ちゃんが好きな食材からはじめてみましょう。

参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf

離乳食後期の1回あたりの食事目安量

離乳食後期の1回分の食事は、何をどのくらい食べればいいのでしょうか。
目安量を確認していきましょう。

参考:厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

離乳食後期のお食事タイミング

離乳食後期の食事は1日3回です。離乳食と離乳食の間は、3~4時間くらいあけましょう。
たとえば、1回目は10時、2回目は14時、3回目は18時などです。

ライフスタイルに合わせて時間は調節してかまいませんが、3回目の食事はあまり遅い時間にならないようにしましょう。
できれば19時前には食べさせるようにしてください。
3回の食事に慣れたら、徐々に家族の食事のタイミングに合わせていきましょう。


離乳食後期で知っておくべきこと

後期の離乳食を進めるうえで、覚えておきたいポイントを確認しましょう。
ここでは、栄養面で気をつけたいことや使える食材、離乳食づくりを楽にするコツについて紹介していきます。

離乳食で1日に必要な栄養の2/3を摂取できる

離乳食後期の赤ちゃんは、離乳食から1日に必要な栄養の2/3をとれるようになります。
後期の離乳食では、栄養バランスを意識して献立を考えましょう。

  1. ごはんやパンなどの炭水化物
  2. 野菜や果物などに含まれるビタミン
  3. 豆腐や魚などに含まれるタンパク質

1回の食事で、上記3つの栄養素が取れるように離乳食を作ります。

おやつも取り入れよう

離乳食が順調に進んでいるようであれば、赤ちゃんの様子を見ながら、離乳食とは別にやおやつを取り入れましょう。
離乳食で足りない分の栄養素を補うのに最適です。

じゃがいもやさつまいもを蒸したシンプルなもの、手づかみ食べできるフルーツや細長く作ったおにぎりなどがおすすめです。

おやつの時間は、ある程度決めておきましょう。
「泣き止ませるため」や「機嫌をとるため」のおやつにならないよう気をつけます。

また離乳食で必要な栄養を摂れているのであれば、必ずしもおやつが必要なわけではありません。

離乳食後期は貧血防止メニューがおすすめ

赤ちゃんは、月齢9ヶ月を過ぎると、鉄欠乏性貧血になりやすいです。
それまでは、ママのおなかの中で蓄えられていた鉄分がありましたが、9ヶ月ごろまでに使い切ってしまうからです。

離乳食後期の9~11ヶ月頃の赤ちゃんに必要な鉄分は、1日4.5~5.0㎎です。
貧血を防止するために、鉄分と、鉄の吸収力を高めるビタミンCを含む食品を離乳食に取り入れましょう。

鉄分を多く含む食材と、ビタミンCを多く含む食材は以下の通りです。

鉄分を多く含む食材
● レバー
● 豚肉の赤身
● 牛肉の赤身
● まぐろ
● イワシ
● アジ
ビタミンC● かぼちゃ
● いちご
● ブロッコリー
● みかん
● キャベツ

離乳食後期に使える食材

離乳食後期に使える食材を確認していきましょう。

牛乳は調理に使うのであれば問題ありませんが、飲用は1歳以降にしましょう。

離乳食を始めたばかりの頃に比べると、かなり多くの食材を食べられるようになりましたが、まだ食べられない食材もあります。
赤ちゃんは大人と比べると、まだ消化機能の発達が十分ではありません。
使える食材と使えない食材をしっかり覚えておきましょう。

上の表には記載していませんが、はちみつも赤ちゃんが食べてはいけないもののひとつです。
1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症にかかる可能性があります。

はちみつに含まれているボツリヌス菌が原因ですが、1歳を過ぎて腸内環境が整えば、問題なく食べられるようになります。

参考:「中野区医師会 離乳食ブック P13」https://www.nakano-med.or.jp/kosodate/images/rinyushoku_book.pdf

作り置きや冷凍にはベビーフードの活用がおすすめ

ベビーフードは、毎日の離乳食づくりの負担を軽減する、お役立ちアイテムです。
かなり多くの食材を食べられるようになったとは言っても、調理にはまだまだ手がかかります。

毎日の仕事や家事・育児で忙しいパパやママにとって離乳食づくりは、大変な作業です。
ベビーフードを上手に取り入れることで、調理の手間や献立を考える負担を減らせます。

・ベビーフードを単体で食べさせる
・調理の手間がかかる食材だけベビーフードにする
・作り置き離乳食の代わりに、小分けにして冷凍しておく

このようにいろいろな使い方ができます。
離乳食づくりの手間を軽減させるためにベビーフードを活用してみましょう。

後期(9〜11ヶ月)について詳しく知りたい方はこちら。
⇛記事「ベビーフード9~11ヶ月におすすめ9選!失敗しない選び方とは」


離乳食後期の献立・レシピ

離乳食後期におすすめのレシピを紹介します。
手軽にできるので、献立作りに役立ててください。

離乳食後期のレシピはこちら

離乳食後期のQ&A

赤ちゃんの成長とともに、さまざまな悩みが増えてくる離乳食後期。
離乳食後期によくある疑問や悩みを解決していきましょう。

離乳食を食べないで母乳やミルクばかり飲む

回答:離乳食に食べにくさを感じているのかもしれません。
この場合、離乳食のあげ方や環境を変えることで、食べるようになることもあります。

● 離乳食が熱すぎたり冷たすぎないか確認する
● 椅子の高さを調節する
● 離乳食の時間を変えてみる
● 離乳食を揚げる場所を変えてみる
● 離乳食をあげる人を変えてみる
● 食材を中期くらいの固さに戻してみる

このように、いろいろ試してみましょう。
また、お腹がすきすぎると、離乳食より母乳やミルクを欲しがる場合があります。

食べている最中に遊んでしまう

回答:大人からは遊んでいるように見えても、赤ちゃんは食材の手触りを確かめたり、自分で食べようと一生懸命練習しているのかもしれません。
食事に興味を持っているようであれば、できるだけ自由に食べさせてあげましょう。

ただし食事から興味がそれて遊びだした場合は、そこで離乳食を終わりにします。
食事の時間は長くても30分と決めて、時間がきたら切りあげましょう。

フォローアップミルクは必要?

回答:フォローアップミルクは必ずしも必要ではありません。
フォローアップミルクは、牛乳に不足しがちな鉄分とカルシウムを補強したものです。離乳食が順調に進んでいない赤ちゃんに与えると、栄養バランスが崩れることもあるので注意してください。
また離乳食が順調に進んでいる場合も、わざわざあげる必要はありません。

かまないで丸飲みしている気がする

回答:離乳食を丸のみしている場合は、次のような原因が考えられます。
● 食べさせるスピードが速い
● 離乳食の形態がゆるすぎる
一口ずつ飲み込んだことを確認してから次の分をあげたり、食材の固さや大きさを調節したり工夫してみましょう。