【この記事の監修者】工藤紀子医師 小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
この記事では、少しでもママ・パパの負担を減らし、『お子さまや家族との時間を増やして欲しい』という想いから離乳食についての内容をまとめました。完璧に離乳食を進めることよりも、お子さまが一番成長するこの離乳食のタイミングを大切に楽しみながら、焦らず慌てず、大人がお子さまの成長に合わせて離乳食を進めてあげられることが一番だと思っています。
離乳食を開始する月齢の目安は、生後5~6ヶ月です。理由は、赤ちゃんの発達や成長と深く関係しています。
最初は母乳やミルク以外の離乳食として、おかゆに慣れることから開始し、段階的に子どもの成長・食欲の状況に応じて進めるとよいでしょう。
この記事では、「いつから離乳食を始めたらいいの?」とはじめての離乳食で悩んでいるパパやママのために、離乳食を始めるタイミングや進め方・スケジュールについて紹介していきます。
赤ちゃんの月齢や成長にあわせた離乳食で、赤ちゃんの成長をサポートしましょう。
Contents
離乳食はいつから始めればいい?発達の目安
離乳食は、赤ちゃんが生後5~6ヶ月になる頃を目安にスタートしましょう。
生後5~6ヶ月になると、赤ちゃんが母乳やミルクを卒業するための準備が整い始めます。
ただし、赤ちゃんの成長は個人差が大きいものです。
5~6ヶ月というのはあくまで目安と考え、赤ちゃんの発達に合わせて離乳食を進めていきましょう。
以下に紹介する様子が見られたら、赤ちゃんが離乳食を始める準備ができてきているサインです。
この様子が見られたら離乳食初期に進めてみよう ・首がしっかりすわっている ・支えてあげればお座りができる ・大人の食事や食べ物に興味を示している |
赤ちゃんの口にスプーンを入れたときに舌で押し返すようなら、母乳を飲むための哺乳反射が強いので、まだ離乳食に進めるのは早いでしょう。
舌で押し返さなくなってきたら、哺乳反射が弱くなっているので、離乳の準備ができてきていると判断できます。
なかにはアレルギー予防のために「離乳食の開始は遅い方がよい」と考える人もいます。
しかし離乳食を遅くしたからといって、アレルギーを予防できるという科学的な根拠はありません。
生後6ヶ月を過ぎた赤ちゃんは、鉄分が不足しやすい傾向にあります。
鉄分が不足して鉄欠乏性貧血になると、脳の発達や運動能力にも影響する可能性があります。
しかし5ヶ月、6ヶ月で離乳食を始めないからといって、すぐ鉄欠乏性貧血になるわけではありません。
離乳食は、赤ちゃんの成長に合わせて進めましょう。
参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
離乳食初期から完了期までの進め方とは?
離乳食は、時期や月齢によって進め方が変わります。
ここでは離乳食の時期を、初期・中期・後期・完了期の4つに分けて、進め方のポイントを紹介します。
離乳食初期(5~6ヶ月・ごっくん期)の進め方
離乳食初期は、ごっくん期ともいわれ、赤ちゃんが舌を使って食べ物を飲み込む練習をする時期です。
離乳食の量は、1日1回で小さじ1杯からスタートします。
家族の生活リズムに合わせつつ、赤ちゃんの機嫌がよく、元気なときにあげましょう。
アレルギーが出る可能性を考え、病院を受診しやすい午前中に離乳食の時間を設けます。
食材は、なめらかにすりつぶしたピューレやペースト状にして赤ちゃんにあげましょう。
使うスプーンは先端が細くなっている、赤ちゃんの口の幅の3分の2程度の幅で、浅めのスプーンだと、口の中に入れやすく赤ちゃんも食べやすいでしょう。
ただスプーンの素材は、赤ちゃんによって合う合わないがあるので、シリコン製、木製、ステンレス製など赤ちゃんに合うスプーンを探してみるのがおすすめです。食べにくそうであれば、ほかのスプーンに変えてみるのもおすすめです。
離乳食を始めたばかりの赤ちゃんは、まだ上手に食べ物を飲み込めません。
食べ物を口から出してしまう場合は、無理に口の中に押し込まず、赤ちゃんの下唇に乗せるようにしましょう。
上顎に擦り付けたりせず、赤ちゃんが自分で「あむっ」とするのを待ちます。
この時期は、まだ母乳やミルクからの栄養が主体です。
離乳食後は、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳やミルクをあげましょう。
離乳食初期の進め方のポイント ・月齢は5~6ヶ月頃が目安 ・開始するのは赤ちゃんの健康状態・機嫌がよいとき ・あげる時間は午前中の授乳前 ・初めての食品は1日1回で1種類のみ、1さじから ・食べ物を口から押し出してしまうときは、下唇にのせる ・食べさせるスプーンは柔らかい素材のもの ・母乳・ミルクは欲しがるだけあげてOK ・おかゆは、つぶしがゆまたは、10倍がゆのように滑らかにすりつぶしたものを |
参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
離乳食初期は食べ物に慣れて飲み込むトレーニング
離乳食を始めたばかりの頃は、赤ちゃんも食べたり食べなかったりを繰り返すことがあります。
この時期はまだ、赤ちゃんの栄養は母乳やミルクがメインです。離乳食を食べないからといって、栄養が偏ることはありません。
「どうして食べてくれないの?」と思い詰めては、パパやママの不安が赤ちゃんにも伝わってしまいます。
焦らずに、赤ちゃんが食事の楽しさを感じられるように心がけましょう。
離乳食後は、今までの授乳リズムに合わせて、好きなだけ母乳やミルクをあげてかまいません。
2回食に移すタイミングは離乳食開始1ヶ月後頃
離乳食を始めて、赤ちゃんが「あむっ」と食べられるようになったら、食事の回数を2回に増やしてみましょう。
離乳食に慣れて食事の量や種類を少しずつ増やすことで、これまで母乳やミルクから栄養を摂っていた赤ちゃんが、徐々に食事から栄養を摂れるようになっていきます。
早めに2回食にすることで、離乳食を試すチャンスも増えるでしょう。
ただし離乳食の進み具合には個人差がありますので、焦らずに赤ちゃんのペースに合わせて離乳食を進めてくださいね。
⇨記事「離乳食 初期」
⇨記事「ベビーフード5ヶ月」
離乳食中期(7~8ヶ月・もぐもぐ期)の進め方
離乳食中期は、もぐもぐ期ともいわれます。
赤ちゃんが7~8ヶ月頃が、離乳食の中期に入る目安です。
初期離乳食の食材を口に取り込んで、唇を閉じて「ごくっ」と飲み込めるようになったら中期食にステップアップしましょう。
食べられる食材が増えてくるので、いろいろな食べ物の味や食感を楽しませてください。
離乳食は、1日に2回、午前中と午後に1回ずつ、できるだけ決まった時間にあげます。
食材は、赤ちゃんが舌でつぶせるくらいの固さにしてください。
離乳食後は、母乳やミルクを赤ちゃんが飲みたいだけあげましょう。
離乳食中期(もぐもぐ期)の進め方のポイント ・月齢は7~8ヶ月頃が目安 ・中期に移行の目安は、初期の離乳食を口に取り込んで、唇を閉じて「ごくっ」と飲み込めるようになったら ・母乳やミルクは離乳食後に赤ちゃんが飲みたいだけあげてOK ・初めて食べる食材は午前中にあげる ・赤ちゃんの口の発達に合わせて、おかゆは全がゆまたは、5倍がゆ |
参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
⇨記事「離乳食 中期」
⇨記事「ベビーフード7ヶ月」
離乳食後期(9~11ヶ月・かみかみ期)の進め方
離乳食後期は、かみかみ期といわれる時期です。
9~11ヶ月頃が目安ですが、赤ちゃんが1日2回の離乳食を食べられるようになってから進めます。
2~3秒もぐもぐして、ごっくんと飲み込めるようになったら、後期の離乳食にステップアップしてもよいでしょう。
食事のリズムを整えるために、1日に3回、時間を決めて離乳食をあげてください。
3回食になるので、家族と同じ時間に食卓を囲むのも、食事の楽しみが増えて良いかもしれませんね。
食べられる食材がさらに増えるので、献立を工夫しながら進めていきます。
食材は、赤ちゃんが歯ぐきでつぶせるくらいの固さが目安です。
一日に必要な栄養の多くを離乳食からとれるようになるので、母乳やミルクの量が減る赤ちゃんもいるでしょう。
ただ、授乳の時間は赤ちゃんにとって、ママとの大切なコミュニケーションの時間でもあります。
ムリに減らさず、赤ちゃんの様子に合わせてあげましょう。
離乳食後期(かみかみ期)の進め方のポイント ・月齢は9~11ヶ月頃が目安 ・後期に移行の目安は2回食を2~3秒もぐもぐして、ごっくんと飲み込めるようになったら ・母乳・ミルクの継続は、赤ちゃんやママの体や心の状態に合わせて ・赤ちゃんの口の発達に合わせて、ごはんは全がゆか軟飯 |
参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
3回食に進める目安は?
離乳食を始めて4~5ヶ月、生後9~11ヶ月頃を目安に3回食に進めます。
1回の食事量が少ないという場合でも、「もぐもぐ」「ごっくん」と上手に食べられているようなら3回食に進めてもよいでしょう。
少食で1回の食事量が少ない赤ちゃんでも、食事の回数を増やすことで、必要な量を補給できるようになる場合もあります。
3回食になったら、家族と同じ時間に食べるのがおすすめです。
家族と一緒に食事をすることで、より食事の時間を楽しめるようになり、生活リズムもつきやすくなりますよ。
手づかみ食べが始まる赤ちゃんも
離乳食後期に入ると、手づかみ食べを始める赤ちゃんもいます。
離乳食を食べさせてもらうのを嫌がったり、自分で食べたがったりする様子が見られたら、手づかみ食べが始まるサインかもしれません。
食材を触ったり、自分で口に入れたりすることが、赤ちゃんの五感を刺激して成長につながります。
手づかみ食べを始めるサインが見られたら、赤ちゃんがつかみやすく食べやすいメニューを1品用意してあげましょう。
一口サイズのおにぎりやパンケーキ、バナナやイチゴなどのフルーツがおすすめです。
特にスティック型に作ったおにぎりは、赤ちゃんがかじり取る練習も出来るため、おすすめです。
最初のうちは上手に食べられなくても、温かく見守ってあげてください。
ただ毎回片付けに時間を取られると、離乳食時の負担が増えて余裕もなくなってしまいます。
パパやママの負担を減らし、赤ちゃんと余裕をもって向き合うためにも、床に新聞紙を引いておくなど、片付けやすくする工夫をしておきましょう。
⇨記事「離乳食 後期」
⇨記事「ベビーフード9ヶ月」
コップを使いだす
これまで哺乳瓶やマグを使って水分補給をしていた赤ちゃんも、徐々にコップを使う練習を始めましょう。
スプーンにも興味を示すのもこの頃です。
コップやスプーンに興味を抱き始めたら、離乳食のときに持たせてあげましょう。
最初は落としたりこぼしたりとうまく扱えないかもしれませんが、繰り返し練習することで、少しずつ上達していきます。
離乳食完了期頃になると、扱いにも慣れて上手に使えるようになるでしょう。
離乳食完了期(12~18ヶ月・ぱくぱく期)の進め方
月齢12~18ヶ月頃を目安に、ぱくぱく期ともいわれる離乳食完了期に入ります。
離乳食完了期は、赤ちゃんが必要な栄養の多くを食事からとれるようになる時期です。
後期の離乳食を、頬を膨らませてあむあむと食べ、ごっくんと飲み込めるようになったら完了期のメニューに進めてみましょう。
離乳食完了期では、食材もだいたい大人と同じものを食べられるようになります。
ただし味付けや食材の固さには、配慮が必要です。
味付けは塩分を控え、できるだけ薄味にしましょう。
食材の固さも、赤ちゃんが歯ぐきで噛めるくらいにします。
母乳やミルクは、赤ちゃんの様子に合わせて、必要に応じてあげるようにしましょう。
離乳食完了期(ぱくぱく期)の進め方のポイント ・月齢は12~18ヶ月頃が目安 ・完了期に移行の目安は、後期の離乳食を、頬を膨らませてあむあむと食べ、ごっくんと飲み込めるようになってから ・母乳・ミルクの継続は、赤ちゃんやママの体や心の状態に合わせて ・ごはんは、軟飯か大人と同じごはんを食べられるように |
参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf
1日1~2回程度のおやつ
離乳食とは別に、1日1~2回おやつをあげるようにしましょう。
まだまだ1回に食べられる量が少ないので、離乳食だけでは必要な栄養が補えない場合があるからです。
【赤ちゃんにおすすめのおやつ】 ・フルーツ ・イモ類 ・チーズやヨーグルトおにぎり ・サンドイッチ |
おやつは離乳食と離乳食の間にあげますが、次の食事に影響しないように時間や量を調節しましょう。
ブドウやチェリーなどのコロンと丸いフルーツは、喉に詰まる可能性があるので、小さくカットしてからあげてくださいね。
⇨記事「離乳食 完了期」
⇨記事「ベビーフード12ヶ月」
離乳食は赤ちゃんの様子を見ながら進めていこう
離乳食は、赤ちゃんの月齢によって目安となる時期があります。
しかし、成長には個人差がありますので、離乳食を進めるときは赤ちゃんのペースに合わせることが大切です。
離乳食作りは手間がかかることも多く、負担に感じることもあるでしょう。
毎日の離乳食作りがつらいと感じたときは、手作りにこだわらず、ベビーフードを利用してはいかがでしょうか。
月齢に合わせたベビーフードを上手に利用することで、育児の負担を減らすこともできますよ。