【この記事の監修者】工藤紀子医師 小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
離乳食に使える食材の中でも、ささみは良質なタンパク質を含む食材です。離乳食中期・もぐもぐ期(7~8ヵ月)から与えらますが、ささみはママ・パパが思っている以上に調理が難しく、離乳食で使用する際には手順に沿った下ごしらえや調理方法、分量を守って与えなければいけません。特に、最初に与えるときは食中毒のリスク回避のために火のとおり具合にも注意をしましょう。
今回は、ささみに含まれる栄養素や下ごしらえの注意点など、離乳食を作るうえで知っておきたいことをまとめました。
Contents
ささみに含まれる主な栄養素
ささみに含まれる主な栄養素と働きは次のとおりです。
ささみからタンパク質を摂取することができます。赤ちゃんの身体づくりに必要な栄養素であり、免疫力を高める効果もあります。ビタミンA・ビタミンB群は、日々成長する赤ちゃんの身体を作るための、補助的な役割があります。ささみ全体で、赤ちゃんの身体づくりを支えている食材ともいえるでしょう。離乳食中期以降で、アレルギー反応の有無に注意しながら少しずつ与えましょう。
ささみを使った離乳食の進め方
離乳食でささみを与える目安となる量と固さは以下のとおりです。
ささみを与える回数は、アレルギー反応の有無を見るために最初は1日1回にしましょう。午前中に離乳食を出すようにし、万が一アレルギー反応が出ても病院にかかれるようにします。どんな症状がアレルギー反応に該当するかは、『アレルギー反応が起こらないか確認する』で詳しく解説しています。
ささみは調理が難しく毎回下ごしらえをしてから調理となると、時間的にも体力的にも大変です。また、手づかみ食べには向かない調理法になる食材であることから、食べさせにくい食材でもあります。そんな時は、ベビーフードを活用することで手間も省けるので、パウチになったものをストックしておくと便利でしょう。
離乳食で使用するささみの調理方法
ささみの下ごしらえ方法は、鍋を使う場合と電子レンジを使う場合の2種類あります。どちらの方法も、調理前には筋を取り除いておきましょう。
【鍋を使用する場合】
① 筋を取り除いたささみに片栗粉をまぶす
② 沸騰したお湯に入れて30秒ほど加熱し、フタをしたまま火からおろす
③ 5分ほど蒸らして中まで火を通す
【電子レンジを使用する場合】
① ささみを適度な大きさにそぎ切りにし、片栗粉をまぶす
② 耐熱皿にささみと水を少量加え、ふんわりとラップをする
③ 電子レンジ500wで1分ほど加熱する
片栗粉をまぶすことで、ささみがパサつかないようにできます。焼く方法もありますが、ささみは焼いてしまうと固くなるので離乳食の調理には向いていません。
鍋でも電子レンジでも好みの方法を使えばいいのですが、鍋で下ごしらえすると、お湯を小さじ1くらい入れてすり鉢で潰すだけでペースト状にできます。赤ちゃんがまだ固形物がうまく噛めないときには有効です。逆に電子レンジ調理であれば、離乳食後期~完了期で使えるささみを作るのに向いています。うまく使い分けて、ささみを使えるよう準備しておきましょう。
ただし、両方に共通して調理段階で以下の2点に注意をしてください。
- お肉を触った手で蛇口や布巾を触らない
- お肉を切ったまな板をそのまま別の食材の調理で使わない
生のささみを始めとするお肉には食中毒菌が付着していることがあり、知らない間に手や別のものを介してほかの食材に移ってしまう場合もあります。特にまな板に関しては、生のお肉を切るたびに洗う必要があります。もし毎回洗う手間を省く場合は、上に載せてまな板を汚さないシートを活用すると、使うたびに、洗う必要がなくなります。
離乳食で使用するささみの冷凍方法
ささみは茹でた後に割いたり切ったりしてから冷凍保存すると、解凍後すぐに調理ができて便利です。冷凍保存から1週間以内を目安に使い切るようにしてください。フリーザーバッグなど、密閉できる袋や容器に入れてしっかり封をして冷凍しましょう。そうすることで空気が触れることによる乾燥や酸化による食感・風味が落ちるのを防ぐことができます。ささみの下処理が面倒、冷凍する手間が多いと感じたら、ベビーフードを使ってみるといいでしょう。パウチから出してそのまま使えるため、小分けにして保存する必要もなく、使い勝手も抜群なので調理時間の短縮にもつながります。
ささみを使用したおすすめのベビーフード
ささみは離乳食中期以降使いやすい食材ですが、前述の通り、保存方法や調理に気をつけるべきポイントがいくつかあります。そのため、ベビーフードを使って手軽に一品作ると時間の節約やママ・パパの負担軽減にもなるのでおすすめです。
カインデストの「はじめての離乳食 お肉チャレンジセット/10パウチ」なら、ささみのほかに豚肉や牛肉も使いやすく加工されていて便利です。レシピもついてくるのでアレンジも簡単にできます。
ささみを使った離乳食レシピ
鍋や電子レンジでささみを下ごしらえして離乳食を作るのもいいのですが、パウチを使うと筋をとったり加熱したりする手間が省けます。また、カインデストのレシピを参考にすれば、ささみパウチを使った献立も簡単にできます。
【ささみを使った離乳食レシピ】
- 鶏ささみと野菜のあんかけにゅうめん
- 鶏ささみと野菜の豆腐焼きナゲット
- 鶏ささみポテト にんじんのピューレ添え
鶏ささみと野菜のあんかけにゅうめん
素麺と「鶏ささみと野菜のあんかけ」を使った、離乳食後期に食べさせたいレシピです。とろみもついていて、普通の素麺よりも食べやすくした一品です。
【材料】
- 鶏ささみと野菜のあんかけ 大さじ2(約30g)
- 素麺(ゆで) 50〜80g
【作り方】
- 茹でた素麺をみじん切りにします
- 器に盛った素麺にささみと野菜のあんかけを上からかけます
鶏ささみと野菜の豆腐焼きナゲット
離乳食中期に食べさせたい一品です。豆腐と 「鶏ささみと野菜のあんかけ」 を使った、かみかみできる献立でもあります。
【材料】
- 鶏ささみと野菜のあんかけ 大さじ2(約30g)
- 片栗粉 大さじ1
- 水切りした木綿豆腐 30~40g
【作り方】
- 豆腐を潰しながら「鶏ささみと野菜のあんかけ」大さじ1と片栗粉を混ぜ合わせます
- フライパンに形を整えながら置いて焼きます
- 食べやすく刻みます
- とっておいた「鶏ささみと野菜のあんかけ」大さじ1をかけます
レシピで使用した 「鶏ささみと野菜のあんかけ」 は以下の商品です。
鶏ささみポテト にんじんのピューレ添え
カルシウムとタンパク質が一緒に摂れる、離乳食初期から与えられる一品です。「にんじんのピューレ」も使っているので栄養価も高めです。
【材料】
- 鶏ささみのピューレ 10g
- じゃがいも 15g
- 水 小さじ1
- にんじんのピューレ 10g
- 片栗粉 少々
【作り方】
- じゃがいもをつぶし、水と「鶏ささみのピューレ」を混ぜ、ラップをして電子レンジ500wで10~15秒加熱する
※じゃがいもの温度で加熱時間は変わりますので加減してください。
- 「にんじんのピューレ」を容器に入れてラップをし、電子レンジで5~10秒温める
- 片栗粉少々を水(分量外)で溶き、②に加えてよく混ぜてさらに電子レンジ500wで5~10秒加熱する
- ①に③をかける
レシピで使用した 「鶏ささみのピューレ」と「にんじんのピューレ」は以下の商品です。
ささみを使った離乳食を用意する際の注意点
ささみは離乳食中期以降で時期を問わず使いやすい食材ですが、用意するときには以下の点に注意しましょう。
【ささみを使った離乳食を用意する際の注意点】
- 完全に火を通す
- アレルギー反応が起こらないか確認する
完全に火を通す
ささみにはカンピロバクターと呼ばれる細菌が付着している可能性があります。少量でも体内に入ると、下痢や発熱などの症状を呈する食中毒の原因になるので注意が必要です。カンピロバクターは熱に弱いので、しっかりと中まで火を通せば問題ありません。
食べ物の中心の温度が、75度以上を維持して、1分以上加熱しましょう。
また、生のささみを切った包丁とまな板で別の食材を切らない、調理後にしっかり手を洗うなどの対策をしましょう。半なまで赤ちゃんにささみを与えては絶対にいけません。
アレルギー反応が起こらないか確認する
ささみを含む鶏肉は、食品表示法で指定されている特定原材料に準ずる食品21品目の1つに該当しています。よく心配される7大アレルゲンではないものの、アレルギー反応が出る赤ちゃんもいるので初めて与えるときには注意が必要です。
鶏肉アレルギーで起こり得る症状で代表的なものは次のものです。
【鶏肉アレルギーで起こる症状】
症状の出る部位 | 具体的な症状 |
皮膚 | じんましん、かゆみ、むくみ、赤み、湿疹 |
粘膜 | 目の充血、かゆみ、むくみ、流涙、まぶたの腫れ 口の周囲や口の中のかゆみ、腫れ、イガイガ感、違和感 くしゃみ、鼻水、鼻づまり |
呼吸器 | 咳、ぜん鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイと音がする呼吸)、息苦しさ |
消化器 | 吐き気、おう吐、腹痛、下痢、血便 |
全身性反応 | 脈がはやい、血圧が下がる、ぐったりする、意識がもうろうとする |
鶏肉をはじめとする肉類は、あまりアレルギー反応が出ない食材でもあります。しかし、アレルギー反応がまったくでないわけではありません。もし上記の症状が出れば、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。