離乳食完了期・ぱくぱく期(12~18ヶ月未満)の進め方は?献立・レシピも紹介

【この記事の監修者】工藤紀子医師
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

この記事では、少しでもママ・パパの負担を減らし、『お子さまや家族との時間を増やして欲しい』という想いから離乳食についての内容をまとめました。完璧に離乳食を進めることよりも、お子さまが一番成長するこの離乳食のタイミングを大切に楽しみながら、焦らず慌てず、大人がお子さまの成長に合わせて離乳食を進めてあげられることが一番だと思っています。

離乳食の完了期と1歳~1歳半で、食事を1日3回と1~2回の間食をとることが目安で、エネルギーや栄養素の大部分は食品からとれるようになった時期のことをいいます。

離乳食完了期では、大人と同じような食事をとれるようになりますが、まだまだ気をつけるポイントはたくさんあります。
この記事では、離乳食完了期におすすめの献立や調理のポイント、食べさせるときの注意点などを解説します。

離乳食のレパートリーを広げるベビーフードの活用方法も紹介しているので、献立作りに役立ててください。

離乳食完了期(12~18ヶ月)離乳食の進め方

離乳食完了期は、月齢12~18ヶ月頃が目安です。
後期から引き続き、1日の食事は3回。ほぼ大人と同じものを食べられるようになりますが、食材の固さは赤ちゃんが歯ぐきで噛めるくらいにします。

1日に必要な栄養のほとんどを、離乳食からとれるようになるのが目標です。

離乳食の進め方(離乳食後完了期)のポイント
・月齢は12ヶ月頃~18ヶ月未満を目安に
・バナナくらいの固さの食べ物を、頬を膨らませてあむあむと食べ、ごっくんと飲み込めるようになったら完了期へ移行
 進め方について詳しく知りたい方はこちら。
 ⇛記事「離乳食はいつから始めるべき?進め方やスケジュール」
・離乳食は1日3回に
・母乳・ミルク以外からしっかり栄養がとれるようになれば離乳完了

離乳食完了期(ぱくぱく期)に移行する目安

離乳食完了期に進める目安は以下の通りです。

離乳食完了期(ぱくぱく期)へ移行する目安
・大人と同じリズムで1日3回の食事がとれる
・バナナくらいの固さの食材を、頬を膨らませてあむあむと食べ、ごっくんと飲み込める
・手づかみ食べをしたがる
・スプーンやフォークに興味を示している
・離乳食後の母乳やミルクの量が減ってきた

3回食のリズムが整っていなかったり、離乳食後期のメニューが上手に食べられなかったりする場合、完了期に進むのはまだ早いでしょう。
月齢にとらわれずに、赤ちゃんの成長に合わせて離乳食を進めてくださいね。

 離乳食完了期(ぱくぱく期)の大きさと固さの目安 

離乳食完了期では、これまでの離乳食と比べて、食材の形態が変わります。
目安となる食材の大きさや固さを確認していきましょう。

離乳食完了期の大きさと固さの目安
・ごはんは軟飯
・歯ぐきで噛める固さ(肉団子の固さくらい)
・大きさは1㎝角くらい

完了期の離乳食には、赤ちゃんが手づかみで食べられるメニューを入れてください。
手づかみ食べをしたがらない場合は、フルーツやおやつなど、赤ちゃんが好きな食材で挑戦してみましょう。

参考:「厚生労働省 離乳食P12 離乳食の進め方の目安」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf

離乳食完了期の1回あたりの食事目安量

1回の離乳食で、何をどのくらい食べればいいのか目安を確認していきましょう。下記の表を参考に、主食・主菜・副菜をそろえることで、栄養バランスも意識できますよ。

参考:厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイドhttps://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

 離乳食完了期のお食事タイミング

赤ちゃんの生活リズムが整ってくる離乳食完了期は、大人と同じ時間に離乳食を食べましょう。
離乳食では足りない栄養素は、おやつで補います。
果物・野菜スティック・おにぎりなどでもよいでしょう。

おやつをあげる場合は、1日2回を目安に、離乳食と離乳食のあいだに時間を設けてください。


離乳食完了期で知っておくべきこと

離乳食完了期では、これまでの離乳食のあげ方とは、変わる部分や気をつけることがあります。
完了期の離乳食を進めるうえで、覚えておくべきポイントを確認していきましょう

母乳は継続してそのまま、ミルクは離乳食を食べる量を確認して飲ませる

離乳食完了期では、栄養のほとんどを食事からとるようになります。
食後の母乳やミルクの量は減り、授乳回数も減ってくるでしょう。

離乳食完了期の授乳タイミングの一例として、夜寝る前に1~2回という子も増えてきます。
いつまでに卒乳しなくてはいけないという決まりはなく、授乳することで赤ちゃんが安心感を得られるのであれば、様子を見ながら授乳を続けても構いません。

ただし離乳食の食事量が少ない場合は、母乳やミルクでお腹がいっぱいにならないように、量や回数、あげる時間を調節しましょう。

手づかみ食べやスプーンにもチャレンジ

離乳食のときに、手づかみで食べられるメニューを取り入れたり、自分でスプーンを持って食べたりすることにも挑戦しましょう。
手づかみ食べは、「目で確認」「手でつかむ」「口に運ぶ」という、目と手と口の協調運動です。
赤ちゃんが上手に食事ができるようになるための大切な練習です。
手づかみ食べをさせるときは、以下のポイントを押さえておきましょう。
・赤ちゃんが持ちやすく食べやすい食材を用意する
・片付けやすいように床にシートを敷いたり赤ちゃんにエプロンをつけたりする
・最初は上手に食べられなくても見守る

手づかみ食べやスプーンをつかって上手に食べられるようになる目安は2歳頃です。
今できなかったとしても問題ありません。赤ちゃんのペースであせらず進めましょう。

参考:「厚生労働省 離乳食P14 <参考2>咀しゃく昨日の発達の目安について」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf

離乳食完了期に使える食材

離乳食の完了期に使える食材は以下の通りです。

完了期の赤ちゃんは、ほとんど大人と同じ食材を食べられるようになりますが、噛む力が十分でないため誤嚥のリスクもあります。

食材の固さや大きさには十分に注意しましょう。

参考:「中野区医師会 離乳食ブック P13」https://www.nakano-med.or.jp/kosodate/images/rinyushoku_book.pdf

離乳食完了期でも食べない方がいい食ベものがある

離乳食の完了期でも、まだ食べられない食材はあるので注意しましょう。
食べない方がよい食材は、窒息、食中毒のリスクなどがあるものです。

・生もの:食中毒の危険性
・ピーナッツ:窒息もち:窒息
・コーヒー(カフェイン飲料)
・えび・かに:アレルギー
・いか・たこ:窒息
・貝類:食中毒
・するめ:消化不良
・コーンビーフ:塩分や添加物が多い

おでかけや作り置きにはベビーフードの活用がおすすめ

おでかけするときや離乳食を作り置きするときは、ベビーフードを利用すると便利です。

ベビーフードは、赤ちゃんの月齢に合わせて作られているので、安心して赤ちゃんに与えられます。
種類も豊富なので、栄養バランスが偏る心配もありません。

ベビーフードを上手に活用することで、離乳食づくりの手間を軽減できます。

完了期(12〜18ヶ月)について詳しく知りたい方はこちら。
⇛記事「ベビーフード12ヶ月頃から(1歳)におすすめ9選!失敗しない選び方とは」


離乳食完了期の献立・レシピ

離乳食完了期におすすめのレシピを紹介します。
手軽にできるので、献立作りに役立ててください。

離乳食完了期のレシピはこちら


離乳食完了期のQ&A

離乳食の完了期に、多くのパパやママが悩む問題についてまとめました。

汚れるのが嫌なんだけど手づかみ食べはさせなくちゃだめ?

回答:手づかみ食べは、赤ちゃんの成長に必要なステップのひとつです。
食材を手に取って触ったり、自分で口に運んだりすることで、少しずつ食べ方も上達していきます。
できるだけ自由に食べさせてください。
床にシートや新聞を敷くなど、片付けやすい工夫をして、赤ちゃんの手づかみ食べを見守りましょう。

離乳食が完了期になったら卒乳すべき?

回答:離乳食をしっかり食べられているのであれば、母乳やミルクは自然と減ってくるでしょう。
無理にやめる必要はなく、赤ちゃんが母乳やミルクを欲しがるようであれば、引き続きあげても構いません。
ただし授乳が原因で離乳食をあまり食べられない状態なら、ミルクの量や回数を減らしたほうがよい場合もあります。離乳食の進みが問題ないか心配な時は、受診し相談してみましょう。

1歳の誕生日ケーキは市販品でも大丈夫?

回答:市販のケーキには、砂糖やバターがたくさん使われているので、1歳の赤ちゃんにとって好ましいとは言えません。
できれば手作りして、材料を赤ちゃん用に加減したほうがいいでしょう。
ホットケーキや赤ちゃん用の蒸しパンに、水切りしたヨーグルトを生クリームに見立てて少し飾るだけでも、特別感のあるケーキになります。

好き嫌いがあるんだけど食べさせるべき?

回答:赤ちゃんは甘いもの、うま味のあるものは美味しいと感じよく食べることが多いものです。
一方酸味のあるものや苦味のあるものは、体が毒かも、腐っているかもと判断することがあるため、食べないことが多いものです。
しかし酸味や苦味があっても食べて良いことを知るために、なんども食べていく必要があります。
泣き叫ぶのに無理に口をこじ開けて食べさせる必要はありませんが、少しずつ練習することで食べられるようになってきます。
様子をみながら少し与えてみたり、家族と一緒に食卓を囲み促してみるなどして練習しましょう回答:毎日消毒する必要はありません。
大人の食器と同じお手入れでよいでしょう。
離乳食作りに使ったまな板や包丁などの調理器具も清潔を保つよう気をつけましょう。

あんまり食べないんだけど2回食に戻してもいい?

回答:あまり食べていないのに回数を減らすと、さらに必要な栄養が減ってしまいます。一回に食べる量が少ない場合は、食べる回数を増やすと良いでしょう。
あまり食べていないのに、だらだら食べさせても、食べることが楽しくなくなってしまうことがあるため、時間を決めて切りあげましょう。食べる回数が増えれば、あげる方も「今食べなくてもあとであげよう」と思えて、気持ちが楽になるかもしれませんね。外遊びで身体を動かしてお腹をすかせるのも良いでしょう。

食べている最中に席を立って遊んでしまう

回答:食事中に席を立って遊びはじめるときは、以下のような原因が考えられます。
・お腹がすいていない
・イスの高さが合っていない
お腹がすいていない可能性がある場合、食事やおやつの時間を見直しましょう。
イスの高さが合っていない場合は、姿勢が安定しないので食事が食べにくく、赤ちゃんが食事に集中できません。
足が床につかずブラブラしていないか、イスやテーブルの高さが合っているかを確認しましょう。

かぜ気味のときは何を食べさせたらいい?

回答:赤ちゃんの食欲がなければ、無理に食べさせなくても構いません。
ただし脱水症状にならないように、水分だけはこまめにとりましょう。あげる水分は母乳や育児用ミルクが良いでしょう。食べるようなら味噌汁やスープもおすすめです。お茶やお水ばかりだと糖分や塩分が含まれていないため、よりぐったりすることがあります。
食欲があるなら、いつもと同じようにあげても構いません。ただし初めて食べる食材は避けましょう。

食べないのに離乳食を作るのが苦痛になってきた

回答:赤ちゃんの成長には個人差があり、たくさん食べる赤ちゃんもいれば、それほど食べられない赤ちゃんもいます。
とはいえ、一生懸命作った離乳食をあまり食べてくれないようだと、パパやママのモチベーションも下がってしまいますよね。
そんなときは手作りにこだわらず、ベビーフードを利用しましょう。
ベビーフードを取り入れることで、離乳食づくりの負担も減らせますよ。