フォローアップミルクとは?ミルクとの違いや必要性・デメリットなどを紹介

【この記事の監修者】工藤紀子医師
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

これから離乳食が始まる家庭では「フォローアップミルクって必要なの?」「粉ミルクや牛乳とは何が違うの?」という疑問を持つ人もいるでしょう。


この記事では、フォローアップミルクとはどんな目的で使うものなのか、どんな人に必要なのか、またフォローアップミルクを飲ませるときの注意点を紹介しています。栄養の偏りが心配だという人は、上手なフォローアップミルクの活用方法を参考にしてみてください。

フォローアップミルクとは

フォローアップミルクとは、牛乳の代用品として開発された食品です。
赤ちゃんが早期から牛乳をたくさん飲むと、鉄分不足を深刻化する可能性があります。そのため、牛乳を飲ませるのは1歳以降が推奨されています。

通常のミルクとの違い

では赤ちゃんが母乳の代わりに飲んでいる ミルクとフォローアップミルクは、具体的に何が違うのでしょうか。
育児用ミルクは母乳の代わり、フォローアップミルクは牛乳にビタミンDや鉄が添加されているものです

【通常のミルクとの違い】
・栄養素
・用途

通常のミルクとフォローアップミルクは似ているようで別物なので、フォローアップミルクの代用として通常のミルクを使うことはできません。通常のミルクとフォローアップミルクに違いを理解して、きちんと使い分けるようにしましょう。

栄養素

フォローアップミルクを飲むことで、牛乳に不足しがちな以下の栄養素を強化することができます。

【フォローアップミルクで強化できる栄養素】
・ビタミンD
・鉄分
・DHA

また通常のミルクと区別するために、フォローアップミルクには亜鉛やや銅の添加が認められていない点も大きな違いです。通常のミルクは、赤ちゃんにとって必要な栄養をバランスよく含んだミルクといえるでしょう。

使用用途

ミルクとフォローアップミルクでは使用用途が異なります。

【使用用途の違い】

  • ミルク:赤ちゃんのご飯(ミルクのみで十分)
  • フォローアップミルク:赤ちゃんの足りない栄養素を補う(フォローアップミルクのみでは栄養素は不十分)

通常のミルクは母乳の代わりに飲める完全栄養食なので、通常のミルクだけで赤ちゃんに必要な栄養素はほぼすべて含まれる点が特徴です。いっぽう、フォローアップミルクは赤ちゃんの不足しがちな栄養素を補うことが目的なので、フォローアップミルクだけでは栄養不足になってしまいます。

1歳?フォローアップミルクへの切り替えはいつから?

フォローアップミルクへの切り替え時期について、厚生労働省は9ヶ月以降を推奨しています。

あくまでもフォローアップミルクは栄養素を補う目的なので、離乳食が順調に進み栄養がしっかり摂れている場合は、必要ありません。

特に生後9ヶ月ごろにかけて、母乳やミルクの回数が減る時期には、これまで母乳やミルクから補えていた鉄分などが不足しやすいため、鉄分を含む食材は積極的に離乳食に取り入れるようにしましょう。

離乳食がうまく進まず、栄養の偏りが心配な場合はかかりつけ医に相談してみましょう。

参照:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド改定に関する研究会第3回議事録


フォローアップミルクの必要性

離乳食をしっかり食べている場合は、フォローアップミルクは必要ありません。

離乳食を食べない、体重の伸びがあまり良くない場合など、栄養に偏りがないか不安がある場合は、一度かかりつけで相談してみましょう。


フォローアップミルクのデメリットは?

フォローアップミルクには、以下のようなデメリットがあります。

  • 離乳食が進まなくなる可能性がある
  • 虫歯のリスクがある
  • 育児用ミルクに比べて栄養バランスが劣る

フォローアップミルクのデメリットをフォローするために、どんなことに気をつけるべきなのか理解しておく必要があるでしょう。

離乳食が進まなくなる可能性がある

フォローアップミルクには赤ちゃんが飲みやすいよう、オリゴ糖などの甘い味がついているため、野菜などよりもフォローアップミルクを好む可能性があるためです。赤ちゃんが欲しがるだけフォローアップミルクを与えていては、栄養が偏ってしまうため、記載された目安量を守る必要があります。

離乳食が進まなくなることが心配な場合は、フォローアップミルクだけを単体であげるのではなく、赤ちゃんが日頃好んで食べる離乳食にフォローアップミルクを混ぜて作るといいでしょう。

虫歯のリスクがある

フォローアップミルクにはオリゴ糖などの糖類が入っているため、むし歯のリスクがあります。とくに哺乳瓶で飲んでいると歯にミルクが残りやすく、むし歯のリスクは高くなるでしょう。そのため、フォローアップミルクはコップやマグで飲ませることをおすすめします。

また、フォローアップミルクを飲んだ後はお水などを飲ませたり、歯を磨くなどして、口の中にミルクが残った状態にならないよう工夫しましょう。

ミルクに比べて栄養バランスが劣る

フォローアップミルクは、牛乳の代わりに飲ませることがあるもので、育児用ミルクとは異なるものです。

そのため、あくまでも離乳食と併用しながら与えるようにしましょう。フォローアップミルクのみで、食事を完結させないよう注意が必要です。


フォローアップミルクを飲まない時の対処法

フォローアップミルクは、これまで飲んでいた粉ミルクや母乳とは味が異なるため、フォローアップミルクを好まない赤ちゃんもいるでしょう。そんな時には、離乳食にフォローアップミルクを混ぜる方法がおすすめです。

フォローアップミルクは牛乳の代わりとして、使用することができます。グラタンやスムージー、パンケーキなど、牛乳を使うレシピに牛乳の代わりに混ぜ作れば、栄養価の高い離乳食ができるでしょう。

フォローアップミルクの対象は生後9ヶ月以降なので、以下の離乳食後期〜完了期のレシピを参考にレシピ内で使われている牛乳を、フォローアップミルクに置き換えて活用ください。フォローアップミルクが苦手な子もすんなり食べてくれるかもしれません。

⇨離乳食後期のレシピ一覧はコチラ
⇨離乳食完了期のレシピ一覧はコチラ


まとめ

フォローアップミルクは、絶対に必要なものではありません。
不足しがちな栄養素を補うことが出来るものなので、離乳食が思ったように進まず、子どもの栄養の偏りが気になる場合に活躍することがあるかもしれません。

一方で、フォローアップミルクは虫歯になりやすい、甘い味に慣れてしまい離乳食が進みにくくなる可能性があるなどデメリットもあります。

こうしたデメリットを知ったうえで、フォローアップミルクが必要だと感じた場合は、かかりつけの小児科医に相談すると良いかもしれません。