【この記事の監修者】工藤紀子医師 小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
緑黄色野菜のひとつであるほうれんそう。離乳食初期・ごっくん期(5〜6ヶ月)から使用できて栄養価も高い野菜です。赤ちゃんには積極的に食べさせたい食材ですが、調理方法や下ごしらえの方法がわからないと感じているママ・パパも多いかもしれません。
この記事では忙しいママ・パパのために、ほうれんそうに含まれる栄養素や離乳食の進め方、簡単レシピをご紹介します。
Contents
ほうれんそうに含まれる主な栄養素
ほうれんそうにはビタミンが多く含まれています。特にビタミンAに変換されるβカロテンは、赤ちゃんの発育を促進するために必要な栄養素であり、他にも健康的な肌を維持したりとほうれんそうを離乳食に取り入れるメリットはたくさんあります。
特に、ほうれんそうに含まれるβカロテンは必要な分だけがビタミンAに変わります。使われなかった分は抗酸化作用を発揮するので過剰摂取の心配がありません。このような点からも、ほうれんそうは積極的に離乳食に取り入れたい、栄養豊富な食品です。
ほうれんそうに含まれる栄養素と役割は、以下のとおりです。
ほうれんそうを使用した離乳食の進め方
ほうれんそうは裏ごしをすれば、離乳食初期から用いることができます。しかし、最初に用いることができるのは、繊維質の少ない葉先のみです。茎は繊維が多いので離乳食初期には向いていません。離乳食後期・かみかみ期(9〜11ヶ月)まで、食べさせることは避けたほうがよいでしょう。
月齢別における食べさせられる量と目安となる固さは、以下のとおりです。参考にしてみてください。
離乳食で使用する際は、ほうれんそうを買ってきて調理する、またはベビーフードを買うの2通りの方法があります。仕事や育児で忙しいときはベビーフードを活用すると、時間短縮ができて便利です。
離乳食で使用するほうれんそうの選び方
赤ちゃんの消化器管は大人のようには発達していないため、離乳食で使用するほうれんそうは、新鮮なものを選びましょう。大人は大丈夫でも、赤ちゃんの場合お腹を壊す原因にもなりかねません。
【離乳食で使用するほうれんそうの選び方】
- 葉先にピンとしたハリのあるものから選ぶ
- 葉の緑色が濃く、イキイキとしたものから選ぶ
- 葉に厚みのあるものから選ぶ
離乳食に使用するほうれんそうは、上記のように新鮮なものを選び、葉先がしんなりしていたり黄色く変色したものは避けましょう。ほうれんそうは乾燥に弱いので、新鮮なうちに調理するようにしてください。
離乳食で使用するほうれんそうの調理方法
離乳食でほうれんそうを用いる場合、アク抜きとすりつぶしが必要です。昔ながらの鍋で茹でてからアク抜きをしたり、すり鉢を使用してすりつぶしたりする方法もあります。しかし、茹でるなら電子レンジを使ったり、すりつぶすならブレンダーを用いたりすることで手間を省くことができます。
アク抜きの仕方
ほうれんそうのアクに含まれる成分は「ショウ酸」と呼ばれる物質です。苦味やエグ味のもととなりカルシウムと結びつきやすいので、体調によっては結石の原因ともなる物質です。「ショウ酸」は水に溶けやすいので、必ず茹でてから水にさらしましょう。
【鍋で茹でる場合】
- ほうれんそうは切らずに、根元の部分を中心に泥をよく洗い流します。葉の部分は水の中で振り洗いします。
- 大きめの鍋にお湯を沸騰させ、塩をひとつまみ入れてほうれんそうの根元のほうから湯に入れます。
- 根元の部分が柔らかくなったら、大きな円を描くように葉先のほうも湯に入れます。
- 葉先まで充分に柔らかくなったら湯からあげ、冷水にさらします。
- 水気をよく絞ります。このとき、雑巾を絞るようなねじり方はしないようにしてください。
- 十分に絞れたら、食べやすい大きさに切ります。
【電子レンジを使用する場合】
- 茹でるときと同様にして、ほうれんそうの根元に付いた泥を水で流します。
- ほうれんそうが濡れたままラップで包み、耐熱容器に乗せて600w、2分程度加熱します。
- ほうれんそうが十分に柔らかくなったら冷水にさらします。
- 水気をよく絞ります。
- 十分に絞れたら、食べやすい大きさに切ります。
ほうれんそうのアクは、茹でたあと冷水にさらすことで抜けます。しっかりと水にさらしましょう。
すりつぶし方
茹でてアク抜きしたほうれんそうを離乳食に用いるには、離乳食初期〜中期にかけてすりつぶしてペースト状にする必要があります。すり鉢を使用する方法とブレンダーを使用する方法をご紹介します。
【すり鉢を使用する場合】
- アク抜きしたほうれんそうの葉をみじん切りにします
- すり鉢でよくすり潰します
- お湯で滑らかになるまでのばします
【ブレンダーを使用する場合】
- 柔らかく茹でたほうれんそうに少量の水を加えます
- ブレンダーで10秒程度、混ぜ合わせます
ブレンダーを使用する場合は、ほうれんそうをみじん切りにしなくても大丈夫です。ほうれんそうの状態を見ながら、適したじょうたいまで混ぜてください。
離乳食で使用するほうれんそうの冷凍方法
ほうれんそうを冷凍保存するには、製氷機に入れて凍らせたあと小分けにしてジッパーに入れましょう。こうすることで、1回分ずつ冷凍保存することができ、解凍して使う際も電子レンジで解凍するだけとお手軽に使用できます。赤ちゃんのお腹は弱いので、必ず温め直してから使用してください。
ほうれんそうの離乳食に使えるおすすめのベビーフード
離乳食初期から使用できるほうれんそうは、多くの栄養素が含まれていますが上記の通り調理に手間がかかってしまいます。まとめて調理して冷凍しておけばその後の手間は省けますが、手軽にほうれんそうを取り入れたい場合はベビーフードもおすすめです。
ベビーフードとは、赤ちゃんに与える離乳用の加工食品であり、ペースト状で販売されているなど素材を調理する手間が発生しません。「せっかく使った離乳食を食べてくれない・・・」なんてことも珍しくないため、離乳食を作るママ・パパの手間や苦労をベビーフードが軽減してくれます。
カインデストでは、ほうれんそうと同じ葉物野菜であるこまつなを使ったベビーフードを取り扱っています。
「こまつなのピューレ/5パウチ」は、離乳食初期から使え、下処理の必要もなく、手軽に使えて便利なベビーフードです。
おすすめの離乳食レシピ
離乳食を作るにはパウチを使用すると手間が省けて便利です。材料があらかじめ調理されているため手軽に使用できます。
ここではほうれんそうと同じ葉物野菜であるこまつなのパウチを使用したレシピをご紹介しますので、ぜひ、お試しください。
【こまつなを使った離乳食レシピ】
- こまつなつくね
- こまつなとりんごの豆腐ピューレ
- マッシュポテト柏餅
- こまつなのやさいスープ
こまつなつくね
タンパク質とビタミンAが同時にとれるお手軽メニューです。鮮やかな緑色が食欲をそそります。ぱくぱく期(12ヶ月)から食べさせてあげたいメニューです。
【材料】
- こまつなのピューレ 大さじ1(約15g)
- 鶏ひき肉 15g
- ゆでたにんじん 2g
- ゆでたきぬさや 2g
- 油 適量
【作り方】
- ゆでたにんじんとゆでたきぬさやを食べやすい大きさに切ります
- ひき肉を練り、「こまつなのピューレ」と1を加えて混ぜ合わせます
※うまくまとまらないときは片栗粉を入れて固さを調整してください
- 2を平たく円形に整えながら、少量の油をひいたフライパンで焼きます
こまつなとりんごの豆腐ピューレ
りんごの甘味で食べやすいメニューです。ごっくん期(5ヶ月)から食べられるメニューになります。
【材料】
- こまつなのピューレ 小さじ1〜2(約5〜10g)
- りんご 10g
- 豆腐 15g
【作り方】
- 豆腐を茹でてすりつぶしてピューレ状にする
- りんごはすりおろす
- すりつぶした豆腐とりんご、「こまつなのピューレ」を合わせる
マッシュポテト柏餅
おやつ感覚で取り入れられるメニューです。じゃがいものビタミンCが鉄分の吸収を助けてくれます。もぐもぐ期(7ヶ月)から食べられるメニューとなります。
【材料】
- じゃがいも 30g
- こまつなのピューレ 5g
- やさいだし 30g
【作り方】
- じゃがいもは薄いいちょう切りにし、さっと水洗いしてから水気を切る
- 耐熱ボウルに入れて電子レンジ500wで1分加熱し、熱いうちにつぶす
- 半量を取り分け、3等分して丸める
- 残りの半量に「こまつなのピューレ」を混ぜ、3等分して薄い小判型にする
- 3の丸めたじゃがいもを4の小判型のじゃがいもで包む
- 食べるときはだしに入れて柔らかくする
※量はお子様の発達により調整してください
※盛り付けの際は衛生に十分ご注意ください
こまつなのやさいスープ
ベビーフードとやさいだしだけでも作れる簡単メニューです。調理も電子レンジだけとお手軽です。ごっくん期(5ヶ月)から食べられるメニューとなります。
【材料】
- こまつなのピューレ 5g
- しんたまねぎのピューレ(または茹でてすりつぶしたたまねぎ) 5g
- やさいだし 大さじ1
【作り方】
- 材料を混ぜ、電子レンジ500wで10秒ほど温める
レシピで使用した「こまつなのピューレ」は以下の商品です。
ほうれんそうを使用した離乳食を用意する際の注意点
ほうれんそうは食品表示法ではアレルギー物質として指定はされていませんが、絶対にアレルギー反応が出ないということはないため、はじめは午前に少量ずつ与えるようにしましょう。
【ほうれんそうのアレルギーで起こる症状】
- 口周りの湿疹
- かゆみ
- 吐き気
- 下痢
- 嘔吐
上記の症状が出たら、かかりつけ医に相談しましょう。
また、ほうれんそうの他の食材を合わせて使用する際も、「the kindestのベビーフード」を利用すれば、ママの負担も軽くなります。全てを手作りすることにこだわらず、上手にベビーフードを活用して、赤ちゃんと笑顔で過ごしてください。