生後4ヵ月の授乳間隔・回数|短くなった・長くなったときの理由と対処法も解説

【この記事の監修者】工藤紀子医師
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

生後4ヶ月を迎えると成長が嬉しい反面、遊びのみがはじまったり、コリック(黄昏泣き)がはじまったりと、これまでとはまた違う大変さがでてきます。そんななか、お世話のメインである授乳の回数が多く、間隔が短いと「うちの子大丈夫なの?」という不安もさることながら、ママ・パパは睡眠時間が削られてツラいことでしょう。

本記事では、生後4ヶ月の授乳間隔や回数を解説。授乳間隔が短い、または長い理由やその対処法についてのヒントをお届けするので、ママとパパが元気に育児を楽しめるように参考にしてみてください。

生後4ヵ月の授乳間隔・回数

生後4ヶ月になると一般的には生後3ヶ月の頃と比べて赤ちゃんの発育が進み、飲む力と体力がつくことから1回の授乳量が増加。それにより授乳間隔が空き、回数も減ってきます。また昼夜の区別がつく時期でもあり、生活リズムが整うことで夜間授乳が減り、ママ・パパもまとまって睡眠を取れるようになる時期でもあります。

一方で、まだまだ授乳間隔が短い赤ちゃんもいます。授乳をはじめ、赤ちゃんの発育は個人差が大きいため、月齢で一括りにはできません。そのため体重が増えているなど、順調な発育が見られれば、授乳間隔が短く、回数が多くても過度に心配する必要はないでしょう。

母乳育児の場合

母乳育児の場合の授乳間隔・回数の目安は下記のとおりです。

  • 間隔:4~5時間おき
  • 回数:5~6回

上記はあくまで目安であるため、すべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。特に母乳育児の場合はミルクに比べて消化が良いため、目安よりも間隔が短く、回数も多くなる傾向にあります。

1回の授乳にかける時間の目安は、片側10~15分程度です。生後4ヶ月にもなると授乳も上達してくるので、早い子は片方5~10分以内に飲み終える場合もあります。これまでトータル30分以上かかっていた授乳もグッと短縮されるため、ママも身動きが取りやすくなるでしょう。

混合育児の場合

混合育児の場合も、母乳育児と同じ間隔・回数が目安となります。

  • 間隔:4~5時間おき
  • 回数:5~6回

ただし前述したとおり、ミルクよりも母乳の方が消化するスピードが早いので、ミルクを足す混合育児の方が、授乳間隔は長めになる傾向にあります。そのため、回数においても母乳育児よりは少ない場合が多いでしょう。

混合育児の場合は、まず母乳をあげてからミルクを足します。生後3ヶ月のときは30~40mlを目安にミルクを足しますが、生後4ヶ月になると成長に合わせて40~60mlを目安に足すように推奨されています。ただし、これもあくまで目安なので、赤ちゃんが拒否した場合は無理に飲ませる必要はないし、グズるようであれば追加してあげましょう。

夜間に長めに睡眠時間を確保したい場合は、寝る前の授乳をミルクのみに切り替えることをおすすめします。腹持ちが良いため、長く眠ってくれるので、ママ・パパの負担も軽減されます。その場合は、160~200mlを目安にミルクを与えましょう。

⇒記事「生後4ヶ月のミルクの量はどのくらい?1日の授乳スケジュールや目安を解説

生後4ヵ月の赤ちゃんの変化

生後4ヶ月頃になると、下記のような変化がみられるようになります。

  • 周囲のものに興味を示し始める
  • うつぶせの姿勢がとれるようになる
  • 泣き方に感情が表れやすくなる

生後3ヶ月頃には表情豊かに笑いかけてくれたり首がすわったりと嬉しい成長がみられますが、生後4ヶ月になるとさらなる成長をみせてくれます。ただし、授乳間隔や回数と同じく発育のスピードも個人差が大きくでます。その子その子のペースがあるので、心配な気持ちもわかりますが、「うちの子はのんびり屋さんなのね」と大きく構えておきましょう。

周囲のものに興味を示し始める

生後3~4ヶ月頃から少しずつ聴覚や視力が発達してくるため、音や動くものに興味を持ちはじめます。そのため、授乳時にも集中しないことが多く、遊び飲みをはじめる子も出てくるでしょう。とある研究結果によると、生後間もない頃から授乳中に休憩することはよくあることであり、ママからの反応を得ることによってコミュニケーションを図っているのだとされています。

育児以外に家事などやることが多いなか、遊び飲みにより授乳時間が延びてしまうと気持ちが焦ってしまいますが、小さな我が子からの投げかけだと思うとなんとも愛しい行為だと思えのではないでしょうか。

うつぶせの姿勢がとれるようになる

生後3ヶ月頃から徐々に首がすわりはじめ、4ヶ月になるとかなり首の座りはしっかりしてきます。かなり早い例ですが、なかには寝返りをする子もでてきます。その後、生後4ヶ月になると、うつぶせの体勢もお手のもの。さらにうつぶせの体勢で腕を使って、グッと身体を持ち上げられるようになり、寝返りやずりばいの準備を始めます。

泣き方に感情が表れやすくなる

これまではただ泣いていただけなのが、生後3~4ヶ月を境に、泣くことひとつとっても感情表現ができるようになります。身体をぶるぶると震わせたり、全身を反らせたりすることで自分がどれほど悲しいのか、怒っているのかを表現しはじめるのがこの時期です。また、泣く際だけでなく、嬉しいときにも笑ったり、手足をばたつかせたりして全身で感情を表現してくれます。

授乳間隔が短い(短くなった)ときの理由

生後4ヶ月で授乳間隔が短い、または短くなった場合に考えられる理由は下記のとおりです。

  • 個性による違い
  • 満腹中枢ができてくる
  • ミルクの量が少ない

授乳間隔が短いとママ・パパの睡眠時間が短くなるため、少々ツラいものがあります。しかし、成長とともに長く眠ってくれるようになるので、もう少しの辛抱です。ただし、辛抱しすぎて倒れてしまっては元も子もないので、この時期は家事そっちのけでもよいので休めるときに休むのがおすすめ。

また、授乳時間が短いと感じる要因の1つに「泣く=授乳」と考えがちな点が挙げられます。赤ちゃんが泣く理由は喉の渇きや空腹だけではありません。構ってほしい、寝づらいなどの理由があるため、あやしてみたり、遊んでみたり、リズム良く背中をトントンしてみると落ち着くこともあります。そのため、「泣く=授乳」の固定概念を捨ててみるのも良いかもしれません。

個性による違い

飲み溜めするのが好きな子や、少量をこまめに飲むのが好きな子など、赤ちゃんにも個性があります。たとえば後者の場合は、自ずと授乳間隔は短くなるでしょう。これが母乳育児だと消化が良いことも相まって、平均よりも授乳間隔が短くなることは往々にしてあるため、ママ・パパは寝不足でツラくなくなることも考えられます。

対処法としては、混合育児の場合は、寝る前の授乳はミルクだけにしてみると、夜間に3~4時間、長いと7~8時間ほどまとまった睡眠時間を確保できるでしょう。母乳育児の場合は搾乳器で母乳を絞り、ストックを作っておくようにしましょう。そうすることで、ママがツラいときにはパパが代わりに温めた母乳を哺乳瓶であげることもできます。

【先輩ママの声】3~4時間なんて空く子いるの?生後4ヶ月の子は3~4時間おきが普通って言われてるみたいだけど、うちの子はいまだ2時間おき。頑張って引き延ばして3時間なんだけど、4時間以上空く子なんているの?状態です。

満腹中枢ができてくる

満腹中枢は生後3~4ヶ月頃に発達すると言われており、この頃から赤ちゃんも自分の「適量」を把握するようになります。そのため、たくさん飲んでもらって3~4時間は間隔を開けたいママの思惑が外れることも。1回に目安以下の量しか飲まないため、授乳間隔が短くなることもあります。授乳間隔を延ばしたい気持ちはわかりますが、この場合に無理矢理飲ませるのはNG。吐き戻しによる誤飲などにつながりかねません。

そのため、あくまで赤ちゃんのペースで授乳をしてあげることが大切です。この際、ママ・パパどちらかだけに負担がかかるのは良くないため、夜間は順番に授乳をするなど、片方だけの負担が大きくならないようなルールを決めると良いでしょう。

【先輩ママの声】飲ませようとしてもべぇーと出されるこれまでむせて吐くまで飲むか、20分ほどで授乳を切り上げるくらいずっと飲み続ける子だったのが、最近になって片方5分飲むとべぇーと押し返されます。その後は何回くわえさせようとしてもダメ。飲みムラもあるので、少量しか飲まなかったときは授乳間隔が短くなります。

ミルクの量が少ない

母乳はミルクと違い、飲んだ量を見ることができないため、場合によってはその後のミルクの量が足りていないこともあります。そのことが原因で授乳間隔が短くなっていることも考えられるので、混合育児の場合は、ミルクの量を増やしてみるのも一つの手です。

また、1回の授乳で片方の乳房からしか授乳していない場合は、どちらかの母乳の出が悪いこともあります。たとえば右側の出は良いけど、左側は出が悪い場合、右側を与えたときには長めに眠ってくれるけど、左側を飲ませたときは授乳の間隔が短くなるでしょう。

これは授乳時の抱っこの仕方を変えることによって、乳首の含ませ方が変わるだけでも改善が見られる場合があります。片側だけだと短時間しか授乳間隔が空かないという場合は、普段と違う抱き方を試してみることもおすすめします。

【先輩ママの声】早くミルクを足せば良かった寝る前に母乳とミルクをあげているのに、夜中に頻繁に起きるのでとてもツラい日々を送っていたところ、SNSで「ミルク足したら?」と言われました。ミルクの量を増やしたことろ、びっくりするくらい長時間寝るように。旦那に変わってもらうこともできるので、これ以降、寝る前のミルクは多めにあげています。

授乳間隔が長い(長くなった)ときの理由

授乳間隔が短い子がいる一方で、授乳間隔が平均よりも長い子もいます。その場合に考えられる理由としては、下記のようなことが挙げられます。

  • 一回に飲む量が増える
  • 夜まとまって寝る時間が増える

授乳間隔が長いと、授乳する回数が減るため不安に感じる人もなかにはいるでしょう。しかし、「授乳の回数が減る=哺乳量が減る」ではありません。体重が順調に増えていれば特に問題ありません。また、赤ちゃんのうちは突然授乳間隔が短くなることもあります。そのため、授乳間隔が長い今のうちに、ママ・パパもゆっくり休むようにしましょう。

一回に飲む量が増える

生後4ヶ月もたつと、赤ちゃんもママも授乳が上手くなります。ママは母乳の分泌量が安定。赤ちゃんにおいては吸う力と体力がつき、1回の授乳で多くの量を飲めるようになります。そのため、授乳間隔が長くなる子もでてきます。ただし、体重やおしっこの回数・量が減った場合は少し心配なので、間隔が空きすぎないように赤ちゃんを起こして授乳するようにしましょう。反対に体重もおしっこも問題ない場合は、そのまま寝かせておいても大丈夫です。

【先輩ママの声】授乳時間がグッと短くなった今まで片方10~15分ほどかかっていたんですが、生後4ヶ月を過ぎたあたりから、片方5分もすると「もういらない」雰囲気を出してきます。最初は足りているのか不安でしたが、体重も平均的に増加しているので、1回に飲む量が増え、スピードも上がったんだなと思っています。

夜まとまって寝る時間が増える

生後3ヶ月頃から昼夜の区別がつきはじめ、生後4ヶ月頃になるとさらにわかるようになります。昼夜逆転の生活から一転、生活リズムが整い始める時期でもあるので、赤ちゃんによっては夜にまとまった睡眠時間をとるようになるでしょう。それにともない、夜間の授乳間隔が長くなります。

しかし、まだ生活リズムが完璧に整っているとは言いがたいので、思い出したかのように夜中に起き始めることもあります。そのため、まとまって寝てくれているときがチャンスだと思って、ママもパパも身を休ませましょう。

【先輩ママの声】夜21時頃から朝まで寝る生後3ヶ月頃から生活リズムを意識して育児をしていたら、夜の21時から朝まで寝るようになりました。少し睡眠時間が長すぎるんじゃないかと心配になりますが、発育状況にも問題がないので、そのままにしてます。たまに夜中の2時とかに起きることもあり、そのときはツラいですね。

授乳間隔や回数で悩んだら病院・クリニックに相談

一般的に言われている授乳間隔や回数はあくまで目安です。そのため、目安から外れていたとしても、体重の増えや機嫌など、赤ちゃんの様子を見て問題なければ過度に心配する必要はありません。

ただし、授乳の間隔や回数は、ママ・パパの睡眠時間と密接な関係にあります。いつか楽になるとわかっていたとしても、ツラいと感じることも多々あるでしょう。そうした場合はご家庭で抱え込まずに、病院やクリニックに相談することをおすすめします。

専門機関に相談することで解決方法のアドバイスをもらえたり、話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になったりすることもあるので、楽しく育児をするためにも我慢せずに早めの相談がベスト。特に1歳までは予防接種や定期健診などで病院やクリニックにかかる機会が多いので、「こんなことで・・・」などと遠慮せずに不安を打ち明けてみましょう。