子どもの“好き”を尊重する【つじあやの】

子育てはうれしいことや楽しいことばかりではなく、ときには悩んだり、孤独に感じることだってあります。

家族みんなが笑顔で心身ともに健康で過ごすためにも、ときには何かに頼ることも大事。



「the kindest mama」は、育児や家事、仕事を頑張る人たちのストーリーを通じて何かに頼ることへのネガティブな想いを減らし、愛するわが子の身体と心、家族の絆をつくる食育の大切さを伝える、世の中のママパパを応援するインタビュー企画です。


今月の「the kindest mama」は、スタジオジブリ制作の『猫の恩返し』の主題歌に楽曲「風になる」が起用されたことで知られるシンガーソングライターつじあやのさん。

ウクレレの弾き語りが代名詞で、5歳の母親でもあるつじさんに、これまでの歩みや、子育てで心掛けていることなどを伺いしました。



こつこつと頑張るのが好きだった幼少期

3人きょうだいの末っ子です。
6個離れた兄とは年齢が離れていたこともあり、幼少期は、3歳上の姉との思い出が多いですね。

同じ部屋だったので、必然的に過ごす時間も長くって。
ケンカもたくさんしたのですが、漫画や音楽など、気付けば姉の趣味に大きく影響を受けていました。

また、意外に思われることが多いのですが、スポーツも大好きで、中学校くらいまではとても活発な女の子でした。
小学生のときは放課後、男の子に混じってドッジボール。部活はバレーとテニスに入っていました。

ただ、絵を描くことも好きだったので、中学2年生のときに美術部に入部。
そこから、美術系の高校に入り、午前中は勉強して、午後からは選考していた西洋画と油絵をひたすら描いていました。

スポーツでも芸術でもこつこつと頑張るのが好きで、つらいことがあっても努力することはあまり苦ではなかったと思います。

本当はギターを弾きたかった

幼稚園のときからピアノを習っていましたが、小さい頃は「音楽を仕事にしたい」とは思っていなかったです。

音楽に熱中し始めたのは、小学校くらいのとき。
当時のバンドブームにドはまりした姉が好きだったスピッツを私も一緒に聴くようになりました。

そのころから徐々に60年~70年代のフォークソングにあこがれを持つようになり、特に吉田拓郎さんの「結婚しようよ」が大好きで、いつか自分でも弾いてみたいなと思っていましたね。

高校生のときに、音楽クラブに入り、音楽活動をスタート。
今はつじあやの=ウクレレのイメージが強いと思うのですが、本当はギターが弾きたかったんです。
手が小さかったのでウクレレを選び、放課後は鴨川の近くで友達と弾き語りをする青春時代を過ごしました。

大学に入っても、フォークソングの同好会で音楽活動をつづけました。
最初は先輩とバンドを組んでライブに出ていましたが、先輩の卒業が近くなると就職活動などでバンド活動ができなくなり、1人でライブに出ることが増えていきました。

ありがたいことに、在学中に音楽関係者の目にとまり、まずはインディーズで、1年後にはメジャーデビューすることができました。
当時はくるりさんを代表とする「京都系」と言われる音楽が流行っていたので、運も良かったんだと思います。

子どもが生まれて大きく変わった日常

妊娠してから産後の半年間はお休みをいただきました。

もともと食べること自体は好きだったのですが、妊娠が分かってからは、より”質”にこだわるようになりましたね。あるあると思いますが、ひたすらネットの記事を見たり、本を読んだりと知識を増やしていって。
お酒をやめることはもちろん、私が食べたものが子どもにつながるからと添加物の入っていないものを選ぶようにしていました。

子どもが生まれてからは、自分だけを考えていた生活とは180度変わりました。
最初の3ヶ月は里帰りで子育てをしていて、母親が助けてくれたのですが、それでも夜にまとまった睡眠時間がとれないのはきつかったです。高校から睡眠を削ったことなかった私にとって、地獄のような日々に思えました…。

また、体の変化を感じることも増えました。

一番困ったのは、いままで出ていた高音が出なくなったこと。声のトラブルは仕事に直接影響するので、焦りもありましたね。

そんなときも自分なりにいろいろと調べて、ヨガや体操をしたり、発声練習したり、食事に気を使ったりと日常生活でもいろいろと実践していき、解決に向かうように工夫していました。

子どもの”好き”を尊重する

私は子供が好きなことを尊重しようと考えるようにしています。
子育て中、心に残った言葉に「子どもは3つのうちに親孝行している」という言葉があります。

子育てをする中で、「こうなってほしい」と親の理想を押し付けてしまいそうなときや、他の人と比べて「劣っているのでは」と心配になることがあると思います。

でも、子育てを通じて親は、素晴らしい愛情もらえて、すごい色んなものをもらっている。

私はこの言葉に共感したので、子どもに求めすぎずに、その子にとって何か楽しいものがあればそれでよいかなと思うようにしています。

子育てはひとそれぞれ 自分にとっての最善を

ぜひ子育てできつくなったときは、自分が育てやすい、楽だというのを真ん中において、勉強して実践してもらえればと思います。

もともと、私は「子育てはこうじゃなきゃだめ」みたいなのはなかったので、問題にぶつかったときは自分に調べて、割と都合の良い情報を集めて乗り切っていました。
1人でやるのが楽な人もいれば、身近な人に頼るのが得意な人、自治体や第三者のサービスに頼る方が気持ち的に楽な人もいると思います。

ストレス発散方法も人それぞれ。
ちなみに私は相撲を見るのが好きで、相撲のテレビ放送を見ることで自分のメンタルを保っていました(笑)

子育て中の皆様も、子どものことを第一に考えつつ、自分にとって最善だと思う選択をして、 無理なく子育てを頑張っていただければと思います。


<プロフィール>
つじあやの
シンガーソングライター

トレードマークの眼鏡と、ウクレレの弾き語りで知られるシンガーソングライター。数々のヒット作品を生み出しており、2002年にスタジオジブリ制作の『猫の恩返し』主題歌に起用された「風になる」はロングヒットを記録した。京都出身。

▶️Instagram: tsujiayano.ukulele
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