【生後5ヶ月】離乳食初期の進め方(量・スケジュール)|回数や献立メニュー・おすすめレシピも紹介

【この記事の監修者】工藤紀子医師
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

生後5ヶ月が近づくと離乳食のことが気になるのではないでしょうか。離乳食初期の進め方を知りたい方に向けて、離乳食を開始する時期、生後5ヶ月の赤ちゃんに適した離乳食の量や回数、作り方、食材などを解説します。

他にも一週間ごとの離乳食スケジュールを紹介しているので、赤ちゃんの成長を見守り、育児を楽しめるよう参考にしてみてください。

離乳食を開始する適切なタイミング

離乳食を開始する適切なタイミングは生後5ヶ月~6ヶ月の間です。生後5ヶ月~6ヶ月になると母乳やミルク以外のものを食べ始める準備が整ってくるからです。

厚生労働省の調査結果(平成27年)によると、実際に生後5ヶ月で離乳食を開始した人の割合は40.7%、生後6ヶ月で離乳食を開始した人の割合は44.9%でした。また月齢を目安にして離乳食を開始した人の割合は84.3%となっています。

以下の表は離乳食を開始した時期の推移を示したものです。

厚生労働省(離乳に関する現状)厚生労働省(授乳・離乳の支援ガイド)を参考に作成

平成27年の調査では生後6ヶ月で開始した人の割合が最も多くなり、生後5ヶ月で開始した人の割合を上回りました。年々生後6ヶ月から離乳食を開始する人が増える傾向があり、理由はアレルギーの発症が心配なためと推測されています。

しかしアレルギーが心配で離乳食開始時期を遅らせても、アレルギーの予防になるという科学的な根拠はないと厚生労働省が明示しています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~ 6か月頃から離乳を始めるように情報提供を行う。』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

引用:厚生労働省授乳・離乳の支援ガイド 2019.3月

離乳食を開始するタイミングは生後5~6ヶ月で赤ちゃんの準備が整ったときです。生後5ヶ月になる前に離乳食の知識を身に付けるなどの準備をはじめましょう。

開始時期の目安となる判断基準

月齢以外で、離乳食の開始時期の目安となる判断基準は以下のとおりです。赤ちゃんの発達の様子を観察することが大切です。

【月齢以外の判断基準】

  • 首がすわっている
  • 支えがあればおすわりができる
  • 大人が食べている様子に興味を示す
  • よだれを垂らしている
  • うつ伏せに寝かせると、両手でグッと体を持ち上げる
  • スプーンを口に入れても舌で押し出すことが減る(哺乳反射の減弱)

赤ちゃんには哺乳反射があるため、生後すぐから母乳やミルクを飲むことができます。哺乳反射は生後5~7か月で消失していきますが、スプーンを口に入れても舌で押し出す場合は、哺乳反射が残っていると考えられます。スプーンを舌で押し出すことが減ってきたら、離乳食の開始を検討してください。

離乳食の開始時期は生後5~6ヶ月が目安ですが、赤ちゃんの発達には個人差があります。赤ちゃんの体の機能が上記のような発達段階になってきたら、離乳食を開始する時期だと判断するといいでしょう。

生後5ヶ月と6ヶ月はどっちが正しい?

離乳食の開始は生後5ヶ月と6ヶ月でどちらが正しいか?の明確な基準はありません。ただし母乳育児を行っている場合は、生後6ヶ月頃より鉄分やビタミンDが不足しやすくなるため、理由なく遅らせる必要はないでしょう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『母乳育児の場合、生後6か月の時点で、ヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすいとの報告がある。また、ビタミンD欠乏18の指摘もあることから、母乳育児を行っている場合は、適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなど、進行を踏まえてそれらの食品を意識的に取り入れることが重要である。』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

引用:厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド 

たとえば「生後5ヶ月半から離乳食をはじめよう」と予定していても、発熱などの体調不良で開始できない時があります。体調の回復を待つ間に日が経ち、月齢が進む場合があります。

赤ちゃんや親の体調不良などで開始時期がずれ込む可能性や栄養面を考えると、生後5ヶ月となり上の条件を満たしたら、赤ちゃんの機嫌が良い日に離乳食を開始するといいでしょう。

生後5ヶ月の離乳食の進め方

生後5ヶ月になると寝返りができる赤ちゃんが増え、母親以外の人を見て泣き出すなど人見知りがはじまることがあります。まわりの世界への興味が広がる時期なので、食べ物への関心も高まってきます。

生後5ヶ月の離乳食の進め方は、まず赤ちゃんの準備ができているか確認することです。首がすわり、支えがあればお座りができる他、よだれが増える、食べ物に興味を示すなどが開始のサインです。

赤ちゃんの健康状態がいい日、なるべく病院が開いている日で赤ちゃんの機嫌がいい時に離乳食を開始しましょう。はじめは1日1回、つぶしがゆ小さじ1杯からです。離乳食後の母乳やミルクは欲しがるだけ与えてください。

生後5ヶ月の赤ちゃんは、母乳かミルクで栄養を摂っています。離乳食は「食べる練習をするのが目的」と捉えるといいでしょう。生後5ヶ月の離乳食の目的は以下の通りです。

  • 食べ物を口に入れ、飲み込む動作を覚える
  • 食べる楽しさを体験する
  • 食材の味や舌ざわりを体験する
  • 規則的な生活リズムを身につける

ちなみに使用するスプーンは先端が細く浅めのもの、スプーンの大きさは赤ちゃんの口の幅の3分の2程度が目安です。

用意する量の目安

生後5ヶ月の離乳食の適切な量や、増やし方の目安は以下の表を参考にしてください。離乳食開始時、赤ちゃんに食べさせる量は小さじ1杯からスタートします。初日と2日目は小さじ1杯、3~4日目は小さじ2杯のように少しずつ量を増やしていきます。

離乳食開始から1ヶ月で、つぶしがゆは小さじ6杯、すりつぶした野菜は小さじ3杯、つぶした豆腐やたんぱく質は小さじ2杯の食事量にするのが目安です。

もし上手に飲み込めなくても栄養は母乳やミルクで摂れているので、焦らず赤ちゃんのペースに合わせて進めてください。

用意する回数・時間

生後5ヶ月の赤ちゃんの離乳食の回数は1日1回です。母乳の時間に先に離乳食を食べさせて、食事後に欲しがるだけ母乳や育児用ミルクを与えます。離乳食の時間はできれば午前中、病院やクリニックが開いている時間帯が望ましいでしょう。

以下の表は母乳やミルクに離乳食を加えた1日のスケジュールの例です。あくまでも一例ですが参考にしてください。

表では授乳回数が1日5回になっていますが、夜中に泣いて母乳やミルクを欲しがるなど、授乳回数が増える場合もあるでしょう。家族の生活リズムと授乳リズムを考えて、準備しやすい時間帯からはじめてください。

離乳食を同じ時間にあげても赤ちゃんの機嫌によって食べない日がありますが、離乳食に慣れるのを待ちながら赤ちゃんのペースに合わせましょう。

離乳食の作り方

生後5ヶ月の離乳食を作るときは、ヨーグルト状の固さが目安です。赤ちゃんが飲み込みやすく、消化しやすくするためです。

離乳食の初期はつぶしがゆからスタートします。生後5ヶ月で食べられるつぶしがゆは、10倍がゆをすりつぶし、濾したものです。10倍がゆとは「米1:水10」の割合で作ったおかゆのことです。なめらかなヨーグルト状になるよう、重湯や湯冷ましでおかゆの粘度を調整しましょう。

根菜類の野菜は皮をむき、やわらかくなるまで茹でてすりつぶします。葉物の野菜はやわらかくなるまで茹でて、水気を切り、繊維を断つようにみじん切りにします。食物繊維の取り過ぎは体に負担になることがあるので、野菜の芯やすじは取り除きます。

豆腐や魚は茹でて、すりつぶします。ぱさつきがある場合は野菜スープやだし汁でのばすと、食べやすくなります。

食材のつぶが残っていると、嫌がって口から出すことがあります。母乳やミルク以外の物の舌ざわりに、まだ慣れないためでしょう。すりつぶしてもつぶが残る時は、裏ごしやブレンダーでなめらかにする方法があります。

生後5ヶ月の離乳食で使える食材

生後5ヶ月の離乳食で使える食材と主な栄養素を以下の表にまとめました。

生後5カ月の頃は、炭水化物は主に米から摂取します。野菜・果物類は生で食べられる物でも火を通すようにしてください。茹でるとすりつぶし易い野菜が適しています。離乳食初期から使用できるタンパク質源は、豆腐と白身魚が主になります。しらす干しは塩抜きしてからあげましょう。

うどんやパンは小麦製品、ヨーグルトとチーズは乳製品でありアレルギーの原因となり得る物質を含みます。またパンには乳成分が含まれることがあります。生後5ヶ月から使える食材ですがアレルギーの心配がある場合は、離乳食を開始して1カ月後以降に試すといいでしょう。

1歳未満の赤ちゃんには、はちみつおよびはちみつを含む食品は与えないでください。赤ちゃんはまだ腸内環境が整っていないため、はちみつに含まれるはボツリヌス菌が体内に入ると乳児ボツリヌス症になることがあるからです。市販のパンは卵・乳成分などが含まれている場合があるので、裏面の成分表示を確認して問題がなければ与えるようにしましょう。

生後5ヶ月の赤ちゃんは消化機能が発達途中なので、月齢に適した食材の中から選ぶことが大切です。使用できる食材は限られますが、食べられる野菜の種類が増えてくると味に変化が出てきます。

生後5ヶ月の離乳食スケジュール・献立メニュー例

生後5ヶ月の離乳食スケジュールは、離乳食を開始してはじめの1週間はつぶしがゆで量を増やしていく、2週目からすりつぶした野菜を加える、3週目から豆腐や魚などのタンパク質を加えるという流れです。

はじめての食材を試した時は、口の周りが真っ赤になるなどのアレルギー症状の有無を観察しましょう。2~3回試してアレルギー症状が出なければ次の食材へと進めて大丈夫です。

離乳食を開始して1カ月後の献立メニューにおかゆ、野菜や果物、タンパク質を取り入れることが目標です。はじめは使用できる食材が少ないですが、食べられるものが増えてくると、メニューをアレンジしやすくなります。

1週目の離乳食スケジュール

生後5ヶ月で離乳食を開始した場合の1週目のスケジュールを以下の表にまとめました。はじめの1週間はつぶしがゆのみ、回数は1日1回です。離乳食の初日、2日目はつぶしがゆを小さじ1杯、3日目は小さじ2杯と少しずつ量を増やします。

離乳食の食べさせ方の手順は以下です。

  1. 支えがある椅子などを使用して、おすわりの姿勢を維持できるよう準備します。
  2. 食べ物を見せながら声かけをします。
  3. 口を開けたら、下唇の上にスプーンをのせます。
  4. 赤ちゃんが口を閉じるのを待ってからスプーンを引き抜きます。
  5. 赤ちゃんは口を閉じながら舌で食物を取り込み、ごっくんと飲み込みます。
  6. 赤ちゃんが飲み込んだことを確認したら、②~⑤を繰り返します。

はじめは口に食べ物を取り込めず、流れ出てくるかもしれません。母乳やミルクは口を開けたままで飲み込んでおり、口を閉じて食べ物を取り込む動作ははじめてだからです。上手くいかないことがありますが「口を閉じてごっくんする動作」を覚えている最中なので、食べる様子を見守りましょう。

また、はじめてあげる食材は、万が一アレルギー症状が確認できた際に受診が出来るように午前中にトライしましょう。

アレルギーは原因となる食材を食べて2時間以内に症状が出てくることが多いです。

最も多い症状は2時間以内に虫刺されのような発疹や肌の赤み、かゆみ、目の腫れなどの皮膚症状です。もし呼吸がゼイゼイと苦しそうだったり、顔色が悪かったり、嘔吐を繰り返す場合は救急を受診しましょう。

2週目の離乳食スケジュール

離乳食を開始して2週目のスケジュールを以下の表にまとめました。おかゆを食べられるようになっていれば、2週目からすりつぶした野菜をはじめましょう。

食べさせ方は、1週間目と同じです。赤ちゃんが飲み込んだことを確認してから次の1さじを口に運ぶようにしてください。食べさせるペースが速いと食べ物が口から出てくる、むせる原因になるからです。赤ちゃんの体調が良好であれば生後5ヶ月で使用できる野菜を試してみましょう。

3週目の離乳食スケジュール

離乳食を開始して3週目のスケジュールを以下の表にまとめました。おかゆや数種類の野菜が食べられるようになっていれば、タンパク質を試しましょう。

新しい食材を試す時は、1日1種類までにしましょう。もし新しい食材を2種類試した後に体調変化が現れたら、どの食材が原因だったのか分からないからです。食べられる食材を焦らずゆっくり増やしていきましょう。

食べさせ方は1週間目と同じです。赤ちゃんのペースに合わせてスプーンを口に運んでください。

4週目の離乳食スケジュール

離乳食を開始して4週目のスケジュールを以下の表にまとめました。無理のないスケジュールで野菜や果物の種類を増やしていきましょう。

離乳食に慣れてきたものの、泣いてしまって「今日は全然食べなかった」という日があるかもしれません。その日の機嫌や食欲により、食事量にムラがでることがあります。予定通りに進まなくても、体調の変化を観察しながら見守りましょう。

離乳食を開始して1回食が順調に進み1ヶ月が経過したら、次の段階として1日2回の食事へと進めます。

生後5ヶ月のおすすめ離乳食レシピ

生後5ヶ月のおすすめ離乳食レシピは、おかゆと野菜、野菜とタンパク質などをかけ合わせたものです。使用できる食材は少ないですが、違う食材を2種類かけ合わせてバリエーションを増やすことができます。

野菜のピューレなどを取り入れた簡単なレシピがあるので、離乳食作りの参考にしてください。

シラスと白いんげんの豆乳ポタージュ

【材料】

  • シラスと白いんげんの和え物 大さじ1(約15g〜20g)
  • 水溶き片栗粉 適量
  • 豆乳 大さじ1

【作り方】

①「シラスと白いんげんの和え物」と豆乳を合わせます。
②①に水溶き片栗粉を混ぜ入れ、ラップをします。
③電子レンジ500w〜600wで20〜30秒様子を見ながら温めてとろみをつけます。
(途中で混ぜるとだまにならずにきれいに仕上がります)

レシピで使用している 「シラスと白いんげんの和え物」 は は以下の商品です。

かぶのすり流し

国産のかぶで作った野菜のおかずです。野菜のピューレを使用するので、忙しい時でも簡単に作れます。

【材料】

  • かぶのピューレ 10g
  • 野菜だし 大さじ1

【作り方】

  1. 材料を混ぜ、ラップをして電子レンジ500wで10秒ほど温める。

レシピで使用した「野菜だし」・「かぶのピューレ」は以下の商品です。

生後5ヶ月のおすすめベビーフード

「一から離乳食を作るのが大変」という方は、すぐに使えるピューレ上になったベビーフードがおすすめです。生後5ヶ月の赤ちゃんが食べやすい形態にするには、調理時間がかかるためです。

たとえば煮る、すりつぶす、裏ごしするなどの調理には手間がかかります。離乳食作りが面倒な時や時間がない時は、ベビーフードを使用すると手軽に一品増やすことができます。

生後5ヶ月の赤ちゃんにおすすめのベビーフードは以下です。(the kindestの商品ページより)

離乳食作りの負担を減らし、赤ちゃんとの時間を楽しめるようベビーフードをご活用ください。