【この記事の監修者】工藤紀子医師 小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
赤ちゃんはできることが毎日少しずつ増え、パパもママもその成長を楽しみに過ごしているのではないでしょうか?成長に伴って気になるのが、赤ちゃんが飲む水です。
ミルクに使うお水や、離乳食に使う水など、様々な場面で水を使いますが、市販の水はどのような基準で選べばよいのでしょうか?
今回は、赤ちゃんの水の選び方や湯冷ましの作り方、ペットボトルの水を選ぶ上でのポイントを解説します!
Contents
ミルクや飲料用の赤ちゃんのお水はどうしてる?
赤ちゃんの水の用途は、ミルクを作るときの使用や、離乳食で食材をペースト状にしたり柔らかくしたりするためなどに使うことが多いです。
調乳や飲料用で、水を使用するときの一般的な選択肢は以下の2つです。
- 湯冷まし(白湯)
- 市販の水
赤ちゃんはまだ抵抗力が弱く、水道水をそのまま使用することに不安を感じる人もいるかもしれませんね。そのため、一度沸騰させた白湯を使用するか、適切な処理がされている市販の水を使用するのも一つの選択肢です。
湯冷ましとは
湯冷ましとは、お水を一旦沸騰させたものを冷ましたものを言います。日本の水道水は世界的に見ても厳しい基準で管理されているため、安全性が高いと言われています。
しかし、水道水には消毒成分の「カルキ」や有害物質の「トリハロメタン」がごくごく微量に含まれていて、本来は日本の基準が守られていれば赤ちゃんが飲んでも大丈夫な程度ですが、一度沸騰させて「カルキ」を除去する選択もあっても良いと一般的に考えられています。
湯冷ましの作り方
湯冷ましの作り方は以下です。
- やかんに水を入れる
- 強火で10分以上沸騰させる ※ふたはしない
- 沸騰したお湯を人肌(35~37℃程度)まで冷ます
湯冷ましを作るときの注意点は以下の通りです。
- 煮沸時間は地域により異なる
住んでいる地域によって含まれている成分が異なるため、煮沸時間が違ってきます。住んでいる地域の管轄の水道局のHPを確認しましょう。
- 調乳には70℃以上のお湯を使用
一度開封した粉ミルクに含まれる可能性がある、サカザキ菌やサルモネラ菌を殺菌するため調乳には70℃以上のお湯を使用しましょう。
適温である人肌程度の温度にするためには、少し冷めたお湯を使って湯冷ましを用いて調整してください。冷凍庫内では雑菌が入っている可能性もあるため、お湯を冷ます際に氷を直接入れるのは控えましょう。
湯冷ましの保存方法・期間
湯冷ましの一般的な保存期間は以下の通りです。
- 常温・・・1日以内
- 冷蔵庫・・・2~3日
常温で保存するときは、風通しの良い涼しい場所においておきましょう。煮沸して殺菌成分などを取り除いた湯冷ましは、殺菌が繁殖しやすい状態でもあります。
東京都水道局によると、殺菌成分が入っている水道水の保存期間は常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度とされています。そのため、湯冷ましは保存時期に関わらず、その日のうちに使い切るようにしましょう。
ペットボトルのお水の選び方3つのポイント
市販のお水を利用するときは以下の点を参考にすると、数多くある商品から選定しやすくなります。
- ミネラルウォーターか純水か
- 殺菌方法
- 産地
ミネラルウォーターか純水か
純水とは、水に含まれている不純物を除去した水のことを言い、ミネラルなどを含まないように処理されているのが特徴です。
ミネラルウォーターは硬水のものもあり、硬度が高いと赤ちゃんにとってあまりよくありません。硬水に含まれているミネラルは、健康に欠かせない成分ではありますが、高すぎる硬度は赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまう恐れがあります。
WHOが定める基準では、硬度120mg/l未満が軟水、120mg/l以上が硬水となっています。硬度が高くなるにつれてミネラルの含有量も増えるため、購入時には軟水か純水を選びましょう。
ペットボトルのお水はそのまま飲ませても大丈夫?
軟水か硬水かを判断するには、硬度数を確認しましょう。硬度120mg/l以下であれば軟水です。ペットボトルのラベルを確認して購入しましょう。
これまでお伝えしているように、硬水のミネラルウォーターは赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまう可能性があるため控えましょう。純水であれば、赤ちゃんの調乳などに使用しても問題ありません。また、ミネラル分の低い軟水も使用できます。
まとめ
赤ちゃんの水は、水道水や軟水、純水を使用しましょう。湯冷ましとして水道水を使用するときは、10分以上沸騰させた水を使うと、カルキのような気になる消毒剤水を沸騰させる際にカルキを抜くという点からだけで考えればポットやケトルは10分以上沸騰させることができないため、湯冷ましには向いていません。やかんを使って、ふたをせずに使用しましょう。
市販のお水を購入するときは殺菌方法なども確認して選ぶことが大切です。